非常に細いスコープを体内に挿入して臓器の鮮明な画像を映し出し、疾患の早期発見、早期治療に大きく貢献する内視鏡。オリンパスメディカルシステムズ株式会社は、消化器内視鏡の領域で世界No.1 のシェアとなっている。 その開発最前線で技術の陣頭指揮を執る、第1開発本部長 斉藤克行氏に、最先端の医療機器の開発で重要な役割を果たすFPGAの世界的なリーディングプロバイダーであるザイリンクスの日本法人 ザイリンクス株式会社 代表取締役社長サム・ローガン氏が、内視鏡の開発について尋ねた。 そこには医療機器特有の要求と、医者や患者のニーズに応える同社の真剣な思いのこもった技術が垣間見える。

案内役:株式会社PALTEK FPGA事業部

体内を覗く内視鏡とは、
最先端技術の塊であった

サム・ローガン氏(以下ローガン氏):医療機器ではドクターや患者の信頼を得る必要があると思います。信頼は非常に重要で、その信頼関係は長年の関係から構築されていると思っています。御社は消化器内視鏡の分野でトップシェアを獲得していますが、御社の製品がどのように信頼を勝ち得てきたのかを教えていただけませんか?

斉藤克行氏(以下斉藤氏):弊社の内視鏡の原点である胃カメラ開発は、「日本人に多い胃がんを何とかしたい」という一人の医師の願いに応えるものでした。厚生労働省が発表しているデータによると、最近の日本では胃がんの死亡率は以前からは減少傾向にありますが、一方で肺がんと大腸がんの死亡率は伸びています。肺がんによる死亡率は胃がんを上回り、また日本の食文化の欧米化に伴い、大腸がんの患者数も年々増加しています。特に女性の場合、大腸がんががん死亡原因の第1位となっています。そのため、弊社ではオフィシャルサポーターとして、ブレイブサークル大腸がん撲滅キャンペーン(注)を積極的に支援しています。

(注)「ブレイブサークル大腸がん撲滅キャンペーン」に関する詳細情報

図1.がんの主要部位別死亡率推移 参照:図1.がんの主要部位別死亡率推移

ローガン氏:がんの主要部位も年々変化があり、増加傾向だということですね。

斉藤氏:そうです。弊社は1950年に胃カメラを世界で初めて実用化しました。その後、1964年にはファイバースコープの内視鏡が、1980年代にはビデオスコープの内視鏡が登場し、現在は世界各国の医療現場で内視鏡が使われるようになりました。
病変を診断しやすくしたい、患者への負担がより少ない治療をしたいという医師からの要望を、弊社の技術陣が一つひとつ解決していく。内視鏡の機器開発は常に地道な作業であり、技術開発は一人の天才でできるものではありません。新しい発想を実用化するには、多くの医療従事者や技術者の知能と努力が必要でした。医療現場からの要請に応え、光学技術、エレクトロニクス技術、材質開発から最新の情報システム技術にいたるまで、さまざまな分野の最先端技術を適切に取り込むことで、内視鏡は進化してきました。
胃や大腸等の消化管用の消化器内視鏡では、先端外径がわずか5mm台の内視鏡や、ハイビジョンタイプの内視鏡、拡大観察用の内視鏡も実用化され、更には、それまでの内視鏡では挿入が困難だった小腸の検査を目的としたカプセル内視鏡も実用化されています。

ローガン氏:先日、内視鏡検査を経験いたしましたが、本当に痛みを感じず受診することができ、医療の進歩を感じました。

斉藤氏:医療の現場で内視鏡に求められるのは、観察・診断性能向上や苦痛低減への寄与、操作性向上だと考えています。内視鏡は、病気の早期発見・早期治療で使用する医療機器として、今後も大きな期待がされており、より負担の少ない検査、より精度の高い検査、より高度な治療に貢献するために、医師の要望を実用化する技術開発が行われています。

図2.内視鏡の進化

(参照:図2.内視鏡ロードマップ)