映像伝送ソリューション
Starlinkの登場によって衛星回線はより身近な存在になったのではないでしょうか?
Starlinkは、SpaceXという航空宇宙メーカーが提供する衛星通信サービスです。地上のネットワークでは圏外となってしまうような地域でも、高速インターネット環境を実現することができます。また、手軽に契約が出来る点も大きなメリットと言えます。
今回は、このStarlinkを使って、Haivision製品で映像伝送を行ってみました。
実施日 | 2023年6月1日(木) |
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時間 | 午前10時~午後2時30分 |
場所 | 多摩川河川敷(東京都大田区) |
天気 | 晴れ |
受信・再配信システムサーバ
レシーバープラットフォーム
Starlink ビジネス
遠隔地や地方であっても高速で低遅延の
ブロードバンド インターネットが可能
4K HEVCならびにH.264を実現する超低遅延エンコーダ
4K HEVCならびにH.264を実現する超低遅延デコーダ
検証①では、Pro380に載せているモバイルSIMを使用せずに、Starlinkのみの回線を使用して実施。プロトコルは、SSTを使用した。ビットレートを1M, 3M, 10Mの3種類、またレイテンシを500msec, 1000msec, 3000msecに設定し、10分間の映像伝送を行う。その際のDropped packetの数をカウントする。
SSTプロトコルとは・・・
3G/4G/5G、LAN、Wi-Fi、衛星回線、一般インターネット網を介してIP回線をボンディングすることができるユニークな技術
Pro380 | Bitrate | SST Latency | ||
---|---|---|---|---|
NO SIM | 500ms | 1000ms | 3000ms | |
1M | 49 | 0 | ||
3M | 2605 | 0 | ||
10M | 29556 | 5170 |
参考 10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報
Rx Bitrate
Tx Bitrate
RTT
Starlink衛星回線を使用したSSTでの伝送では、3Mbpsのレートにおいて1000ms遅延を付加することでパケットロスを防ぐことが成功した。 RTTは頻繁に400msを越えることがあり、有線と比較しても大きなバッファを持つ必要がある
検証②では、Pro380に載せているモバイルSIMを介して、Starlinkとdocomo, KDDI, Softbankの3つのモバイルSIMを使用して実施。SIMでの映像伝送が、検証①の衛星回線で生じたドロップドパケットをどの程度リカバリーするかを検証した。プロトコルは、検証①と同様にSSTを使用。ビットレートを1M, 3M, 10M, 20Mの4種類、またレイテンシを700msec, 1000msec, 3000msecに設定し、10分間の映像伝送を行う。その際のDropped packetの数をカウントする。
Pro380 | Bitrate | SST Latency | ||
---|---|---|---|---|
With SIM | 700ms | 1000ms | 3000ms | |
1M | ||||
3M | 0 | |||
10M | 1 | |||
20M | 2377 |
10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報
10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報
SIMを優先的に、Starlinkをバックアップ回線とした環境を模造した検証。
3Mbpsにおいては700ms、10Mbpsにおいても1000msの遅延を付加することでかなり安定的な伝送が実現した。
StarlinkのDropped Packets数は大きく発生しており、SIM側にてリカバリをした結果、安定的な伝送に結びついたと推測される。
通常のFullHD画像において6Mbps程度であれば1秒以内の配信も可能。
別日程に別の場所で追加で実験を行いました。
・Makito X4を使用してSRTをStarlinkで飛ばす(検証③)
・Pro380からSRTとSSTの両プロトコルで飛ばす(検証④)
ビットレートとレイテンシを調整し、Packet Lossがゼロになるポイントを探しました。
実施日 | 2023年6月9日(金) |
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時間 | 午後1時~午後4時 |
場所 | 等々力競技場(川崎市中原区) |
天気 | 晴れ |
検証③では、等々力競技場にMakito X4エンコーダを置き、SRTプロトコルを使用して有線でStarlinkに接続し、衛星経由でPLATEK社内に設置したデコーダで受けた。ビットレートとレイテンシを調整し、パケットロスがゼロになるポイントを探した。
Bitrate | 6M | 6M | 6M | 4M | 4M | 3M | 3M | 3M |
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Latency (ms) | 125 | 500 | 1000 | 750 | 2000 | 500 | 750 | 1000 |
開始時のPacket Loss | 12281 | 14246 | 17912 | 22705 | 25418 | 21887 | 22633 | 21767 |
5分後のPacket Loss | 14242 | 15645 | 18277 | 22763 | 25418 | 22052 | 22686 | 21767 |
差 | 1961 | 1399 | 365 | 58 | 0 | 165 | 53 | 0 |
3MbpsにてSRTバッファを1000msに設定することでパケロスを防ぐことに成功。
4MbpsではSRTバッファを2000msに設定することでパケロスを防ぐことに成功し
これ以上のビットレートではパケロスを無くすことは困難と判断しました。
検証④では、等々力競技場にPro380を置き、有線でSRTプロトコルを、さらにSIMを使用してSSTプロトコルでも同時に映像伝送を行った。この際のビットレートとレイテンシを調整し、パケットロスがゼロになるポイントを探した。
短時間での検証となったが、StarlinkをSIMと共用することによって広帯域な無線伝送においても実現可能でした。
スタジアムなどの大規模イベントにおいて、キャリア回線が圧迫された際はStarlinkが強力なバックアップ回線として期待できる検証となりました。
検証は以上です。
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