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Haivision Pro380を使って
Starlink(衛星回線)で映像を飛ばしてみた①

Haivision Pro380を使って Starlink(衛星回線)で映像を飛ばしてみた①

Starlinkの登場によって衛星回線はより身近な存在になったのではないでしょうか? 
Starlinkは、SpaceXという航空宇宙メーカーが提供する衛星通信サービスです。地上のネットワークでは圏外となってしまうような地域でも、高速インターネット環境を実現することができます。また、手軽に契約が出来る点も大きなメリットと言えます。​

今回は、このStarlinkを使って、Haivision製品で映像伝送を行ってみました。

検証

検証概要

実施日​ 2023年6月1日(木)
時間​ 午前10時~午後2時30分​
場所​ ​多摩川河川敷(東京都大田区)
天気​ 晴れ

検証に使用した機材

 

Haivision Pro380​

H.265/HEVCハードウェア搭載​
モバイルトランスミッター​

モバイルSIMボンディング技術(SST)で
安定した映像伝送を実現

Haivision StreamHUB

受信・再配信システムサーバ​
レシーバープラットフォーム​

Starlink ビジネス​

遠隔地や地方であっても高速で低遅延の
ブロードバンド インターネットが可能​

Makito X4 ビデオエンコーダ

​Haivision  Makito X4 エンコーダ​

4K HEVCならびにH.264を実現する超低遅延エンコーダ​

Makito X4 ビデオデコーダ

​Haivision  Makito X4 デコーダ

4K HEVCならびにH.264を実現する超低遅延デコーダ​


検証① SIM無しSSTでの打ち上げ

構成


検証①では、
Pro380に載せているモバイルSIMを使用せずに、Starlinkのみの回線を使用して実施。プロトコルは、SSTを使用した。ビットレートを1M, 3M, 10M3種類、またレイテンシを500msec, 1000msec, 3000msecに設定し、10分間の映像伝送を行う。その際のDropped packetの数をカウントする。

SSTプロトコルとは・・・

3G/4G/5G、LAN、Wi-Fi、衛星回線、一般インターネット網を介してIP回線をボンディングすることができるユニークな技術​

➡ 詳しくは「SRT&SSTの違いを確認してみよう」をご覧ください

検証① 検証結果

左右にスクロールしてご覧ください
Pro380 Bitrate​ SST Latency​
NO SIM​   500ms​ 1000ms​ 3000ms​
1M​ 49​ 0​  
3M​ 2605​ 0​  
10M​   29556​ 5170​

参考 10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報

Rx Bitrate

Tx Bitrate

RTT

検証① 考察

Starlink衛星回線を使用したSSTでの伝送では、3Mbpsのレートにおいて1000ms遅延を付加することでパケットロスを防ぐことが成功した。​ RTTは頻繁に400msを越えることがあり、有線と比較しても大きなバッファを持つ必要がある




検証② SIM有りSSTでの打ち上げ構成

構成

検証②では、Pro380に載せているモバイルSIMを介して、Starlinkとdocomo, KDDI, Softbankの3つのモバイルSIMを使用して実施。SIMでの映像伝送が、検証①の衛星回線で生じたドロップドパケットをどの程度リカバリーするかを検証した。プロトコルは、検証①と同様にSSTを使用。ビットレートを1M, 3M, 10M, 20Mの4種類、またレイテンシを700msec, 1000msec, 3000msecに設定し、10分間の映像伝送を行う。その際のDropped packetの数をカウントする。

検証② 検証結果

左右にスクロールしてご覧ください
Pro380 Bitrate​ SST Latency​
With SIM​​   700ms​ 1000ms​ 3000ms​
1M​      
3M​ 0    
10M​   1  
20M   2377  

10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報​

(注)スタート時のDropped Packet数が2であったため、最終カウント数は1​

10M 1000msecに設定した際の測定開始から5分後のStream HUBの統計情報​

赤枠は、Starlink回線で発生したDropped Packet数

検証② 考察

SIMを優先的に、Starlinkをバックアップ回線とした環境を模造した検証。​
3Mbpsにおいては700ms、10Mbpsにおいても1000msの遅延を付加することでかなり安定的な伝送が実現した。​
StarlinkのDropped Packets数は大きく発生しており、SIM側にてリカバリをした結果、安定的な伝送に結びついたと推測される。​
通常のFullHD画像において6Mbps程度であれば1秒以内の配信も可能。​


おまけ
追加検証

別日程に別の場所で追加で実験を行いました。

 ・Makito X4を使用してSRTStarlinkで飛ばす(検証③)

 ・Pro380からSRTSSTの両プロトコルで飛ばす(検証④)

ビットレートとレイテンシを調整し、Packet Lossがゼロになるポイントを探しました。

検証概要

実施日​ 2023年6月9日(金)
時間​ 午後1時~午後4時
場所​ ​等々力競技場(川崎市中原区)
天気​ 晴れ


検証③ Makito X4を使用しSRTをStarlinkで飛ばす

構成


検証③
では、等々力競技場にMakito X4エンコーダを置き、SRTプロトコルを使用して有線でStarlinkに接続し、衛星経由でPLATEK社内に設置したデコーダで受けた。ビットレートとレイテンシを調整し、パケットロスがゼロになるポイントを探した。​

 
左右にスクロールしてご覧ください
Bitrate 6M 6M  6M 4M 4M 3M 3M 3M
Latency (ms)  125 500 1000 750 2000 500 750 1000
 開始時のPacket Loss 12281 14246  17912 22705 25418 21887 22633 21767
5分後のPacket Loss 14242   15645  18277 22763 25418 22052 22686 21767
1961 1399 365 58 0 165 53 0

検証③ 考察

3MbpsにてSRTバッファを1000msに設定することでパケロスを防ぐことに成功。
4MbpsではSRTバッファを2000msに設定することでパケロスを防ぐことに成功し
これ以上のビットレートではパケロスを無くすことは困難と判断しました。




検証④ Pro380からSRTとSSTの両プロトコルで飛ばす 

構成

検証④ 検証結果

検証④では、等々力競技場にPro380を置き、有線でSRTプロトコルを、さらにSIMを使用してSSTプロトコルでも同時に映像伝送を行った。この際のビットレートとレイテンシを調整し、パケットロスがゼロになるポイントを探した。

検証④ 考察

短時間での検証となったが、StarlinkをSIMと共用することによって広帯域な無線伝送においても実現可能でした。
スタジアムなどの大規模イベントにおいて、キャリア回線が圧迫された際はStarlinkが強力なバックアップ回線として期待できる検証となりました。

 



検証は以上です。

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