「EdgeTech+ 2024」出展レポート

PALTEKは、11月20日(水)から22日(金)までの3日間パシフィコ横浜で開催した「EdgeTech+ 2024」に出展し、「外観検査、周辺監視、人流解析」に関する組み込みデバイスソリューションを展示しました。なお、本展示会は、株式会社PALTEKと株式会社レスターとの共催で出展しました。

展示内容について

PALTEK

レスター

PALTEK

AMD Embedded+
エンベデッドプロセッサとアダプティブSoCを備えたシングルプリント基板(PCB)

AMD Embedded+は、AMD Ryzen EmbeddedプロセッサとVersal アダプティブSoCを単一のPCBに統合した新しいアーキテクチャソリューションです。CPUとFPGAを1枚のボードに統合することで、効率的なシステム構築を実現します。

AMD Embedded+の製品写真。基板上にプロセッサやSoCが実装された様子

特長

AMD Embedded+は、1枚のボードにCPUとFPGAを統合することで、大幅なコスト削減と省スペース化を実現しています。x86とARMプロセッサの組み合わせに対応し、AIエンジンとFPGAファブリックもサポートしています。さらに、検証済みの統合プラットフォームとして提供されることで、開発者の負担を軽減することができます。

用途

主な用途として、AGV(無人搬送車)やAMR(自律移動ロボット)システムにおけるモーター制御や障害物検知が挙げられます。FPGAで高度な画像処理やAI処理を行いながら、CPU側でネットワーク接続やGUI処理を担当するといった、複合的なタスクの処理が1枚のボードで実現可能です。

導入効果

従来の複数ボード構成と比較して、システム構築が大幅に簡素化され、開発時間の短縮が可能となります。また、省スペース化によるシステムの小型化と、ボード統合による総コストの削減が実現できます。複雑な処理を1枚のボードで効率的に実行できることで、産業用途におけるさまざまな課題解決に貢献します。

製品詳細
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PALTEK

AIによる白杖保持者検知
駅ホームなどを想定した遠隔監視ソリューション

AMBL社のAIモデルとAMD社のKria™ SoMを活用し開発した白杖検知システムです。
AIのパートナー企業であるAMBL社が開発したAIモデルとAMD社のKria SoMを活用して開発した白杖検知システムです。
駅ホームなどを想定した遠隔監視を実現できるソリューションです。

デモ展示の様子。モニターには「sXGP with AI デモ実演中」と表示され、手前にKria KV260の基板とネームプレートが設置されている

特長

本システムの最大の特長は、90%以上という高い検知精度を実現している点です。一般的な白杖検知では、ビニール傘との誤認識などが課題となっていますが、AMBL社の高度なAI技術により、これらの問題を解決しています。また、通常のカメラとKria SoMの組み合わせで実現できる点も特徴的です。

用途

主な用途は駅のホームでの見守りシステムとして想定されています。カメラで白杖保持者を検知し、その位置情報を駅員のスマートフォンにリアルタイムで通知することで、適切なサポートを提供することができます。通信環境はsXGPを利用した無線通信で情報伝達を行います。

sXGP:shared Xtended Global Platformの略で、企業などが独自にLTEの携帯電話ネットワークを構築できる通信規格です。従来のPHSに代わるものとして期待されています。

導入効果

従来の専用AIカメラシステム(30万円から40万円程度)と比較して、半分以下のコストで導入が可能となります。これは、一般的なカメラとKria SoMの組み合わせで実現できることによるものです。コスト削減により、より多くの場所への導入が可能となり、視覚障害者へのサポート体制を広く展開できます。

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AMD Vitis™ AI
AMD Kria™ SoMによる推論アプリ

名刺サイズのモジュールであるAMD Kria SoMを用いて、モーター制御と顔認識AIを実施しました。AMD Vitis AIフレームワークを活用しています。このデモンストレーションでは、リアルタイムの顔認識とモーター制御の同期動作を示しています。

AMD Vitis AIのデモ展示セットアップ。展示台の上にKria SoM開発ボード、カラフルなLEGOブロックで作られたケース、ノートPC、カメラが設置されている。モーター制御と顔認識AIのデモンストレーション環境

特長

FPGAを活用することで、モーター制御と画像処理の完全な同期動作を実現しています。高速な人の動きに対しても正確な追従が可能で、従来のマルチボードシステムでは難しかったリアルタイム性の高い処理を1チップで実現します。Vitis AIプラットフォームにより、AIモデルの最適化と効率的な実装が可能となっています。

用途

主な用途として、産業用ピッキングロボットでの物体認識と把持制御が挙げられます。また、人物追跡機能を活用した監視カメラシステムにも応用可能です。高速な動作と精密な制御が要求される産業用途において、特に効果を発揮します。

導入効果

従来は別々のボードで構成されていたカメラ制御とモーター制御の機能を1チップに統合することで、大幅な省スペース化と処理速度の向上を実現します。システム全体の小型化とコスト削減が可能となり、さらに配線の簡素化やメンテナンス性の向上にも貢献します。統合化によるレイテンシーの低減は、システム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

レスター

AITRIOS™
エッジAIセンシングソリューション

AITRIOSは、エッジデバイスを活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を可能にするプラットフォームです。エッジデバイスのセットアップや、クラウドへの接続、アプリケーションやAIモデルの開発、ソリューションの運用を、手軽に実施できる環境を構築することができます。AITRIOS新サービス「Local Edition」は、一般的なPCとローカルネットワーク環境で利用可能であり、クイックなPoCや、小規模事業者向けソリューションに最適なクラウドフリーのソフトウェアキットです。

AITRIOSのデモ画面を表示する黒いモニター。画面には青い床面を撮影した映像が表示され、右側には解析データのテキスト情報が並んでいる。エッジAIによる映像解析の様子を示すデモンストレーション画面

特長

小型で低消費電力なソリューションを開発できます。エッジ処理によりデータ量を最小限に抑え、画像解析後のメタデータのみをクラウドに送信する事で、プライバシーに配慮し、かつ低遅延でデータを送信する事が可能です。エッジからクラウドを含めたセンシングソリューションを容易に構築できるワンストップなプラットフォームを提供することにより、パートナーはそれぞれのニーズに合わせた高性能なアプリケーションやソリューションの開発・導入を効率的に行うことができます。

用途

AITIROSでは様々なユースケースが実現可能であり、多くの用途でお使いいただけます。弊社事例として、物流倉庫の荷物積み降ろし場での作業効率向上に向けたエッジAI技術を活用したサービスや会議室利用の効率化/管理工数の削減等を目的としたサービスをご提供しています。

導入効果

AITRIOSを活用した物流でのソリューションでは、運送トラックによる荷物積み降ろし場の利用実績の取得や、作業時間の計測を自動化することにより、ドライバーの不要な待ち時間および倉庫内従業員の作業時間の短縮に寄与しています。会議室利用状況把握のソリューションでは、エッジ側でデータや画像を解析し出力されたメタデータのみをクラウド側に送ることによりプライバシーに配慮したシステム構築を組むことができ、個人情報保護への配慮が必要な、店舗・公共施設での利用が可能となります。

製品詳細
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※AITRIOS、およびそのロゴは、ソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標です。

※AITRIOSは、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社が手掛けるイメージセンサーを活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を加速するためのエッジAIセンシングプラットフォームです。

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FLIR社 固定型サーマルカメラ Aシリーズ
常時監視による設備故障の予防保全として多く活用/費用損失となる生産停止を防止

産業用途に特化した固定型スマートサーマルカメラシステムです。高精度な温度測定機能とカメラ内での情報処理機能を組み合わせ、さまざまな現場での温度監視を可能にします。PCとの容易な接続性と、豊富な製品ラインナップにより、多様な用途に対応可能な温度監視ソリューションとして提供します。

FLIR社の固定型サーマルカメラAシリーズのデモセットアップ。三脚に設置された黒いサーマルカメラと、PCモニターに表示されたサーマル画像。モニター画面には青を基調とした熱画像が表示され、温度分布が色の違いで可視化されている。カメラの前にはFLIR製品の説明プレートが置かれている。

特長

カメラ本体に高度な温度解析機能を搭載し、リアルタイムでの温度分布測定と異常検知が可能です。従来の温度センサでは困難だった面的な温度分布の把握や、動的な温度変化の監視を実現します。また、独自の画像処理アルゴリズムにより、高精度な温度測定と低ノイズ化を両立しています。さらに、標準的なインタフェースを採用することで、既存システムへの導入も容易に行えます。

用途

工場設備の温度監視や火災予防システムとして、常時監視が可能です。特に、電気設備や機械設備の異常発熱検知、製造工程での品質管理、エネルギープラントでの設備監視など、温度管理が重要な現場で効果を発揮します。また、非接触での測定が可能なため、高所や危険区域での温度監視にも適しています。生産ラインでの製品品質管理にも応用可能で、IoTシステムとの連携により予知保全システムの構築も実現できます。

導入効果

常時温度監視により設備の異常を早期に発見し、重大な事故や火災を未然に防止することができます。また、設備の予防保全が可能となり、突発的な故障による生産ライン停止のリスクを低減できます。これにより保守コストの削減と稼働率の向上が期待できます。さらに、温度データの蓄積・分析により、製造プロセスの最適化や品質向上にも貢献します。

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光学付小型センサモジュール
レンズ、センサ、インタフェースがパッケージ化機器組込みに特化した小型・軽量モデル

最新のグローバルシャッターセンサを搭載したMXS900を含む、高性能センサモジュールシリーズです。産業用途に最適化された設計と、豊富なラインナップにより、さまざまなアプリケーションに対応可能です。高い拡張性と信頼性を備え、次世代の産業用センシングソリューションとして提供します。

デプスカメラのデモ展示。白いテーブル上に配置された機器類。デプスカメラ本体(白い筐体)、ノートPC、説明用プレートが設置されている。ノートPCの画面には色分けされたシルエットの映像が表示されており、デプスセンシング機能のデモを示している。画面上のシルエットは異なる色(緑、赤、青など)で表示され、距離情報の検出を可視化している。

特長

グローバルシャッターセンサの採用により、動体撮影時の歪みを最小限に抑制し、高精度な画像取得を実現しています。産業用規格に準拠したインタフェースを搭載し、さまざまなシステムとの接続性を確保しています。また、モジュール設計により、カスタマイズや機能拡張が容易で、顧客のニーズに合わせた柔軟なシステム構築が可能です。

用途

セキュリティシステムやドローンの位置検出、ロボットアームの制御など、高精度な画像認識が必要とされる場面で活用できます。特に、製造ラインでの外観検査や測定、自動搬送システムでの位置決め、物流現場での物体認識など、産業用途全般で幅広く対応可能です。また、AIと組み合わせることで、より高度な認識・制御システムの構築も実現できます。

導入効果

装置の小型化と高性能化を同時に実現し、システム全体のコストパフォーマンスを向上させることができます。開発期間の短縮も可能で、市場投入までのリードタイムを大幅に削減できます。さらに、モジュール設計による高い拡張性により、将来的なシステムアップグレードにも柔軟に対応可能です。これにより、長期的な運用コストの最適化も図ることができます。

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Purespectra® Model C3
プリズム分光カメラモジュール/人間の目を超えたAI用入力装置

Purespectra Model C3は、プリズム分光モジュールを用いたカメラシステムです。単一のカメラで複数の波長を完全な同軸で取得できる特殊な光学システムを採用しています。今回のデモでは、可視光カメラと857nmの近赤外(NIR)波長の同時撮影を実演しており、医薬品の検査における実用例を示しています。

Purespectra Model C3のデモ展示。モニターに可視光と近赤外での撮影比較画像を表示。

特長

本システムの最大の特長は、プリズム分光モジュールによる完全同光軸での複数波長同時撮影が可能な点です。従来の複数カメラシステムと異なり、キャリブレーションの必要がなく位置ずれのない画像取得が実現できます。また、RGBだけでなく近赤外域まで含めた分光モジュールを提供できる唯一のシステムとして、他社製品との差別化を図っています。さらに、3板のセンサのそれぞれ焦点距離を変更することで焦点の違う複数の撮影も1台のカメラで実現可能です。

用途

主な用途として、製造ラインの外観検査工程や医薬品製造における品質検査などが挙げられます。外観検査では色味確認と異物、傷、打痕などの検査を同時に行うことができます。錠剤製造現場では、錠剤の色味確認と刻印検査を同時に行うことが可能です。また、RGBセンサを分割することで、より深い色彩情報の取得やベイヤーセンサーを複数実装することでHDR画像なども可能となり、高精度な品質管理を実現します。

導入効果

従来の複数カメラシステムと比較して、設備の簡素化とコスト削減が実現できます。完全同軸での撮影により画像処理ソフトウェアの開発が容易になり、開発期間の短縮も期待できます。また、1台のカメラで複数の検査項目をカバーできることから、検査工程の効率化と精度向上に貢献します。これにより、製品品質の向上と生産性の改善を同時に達成することが可能となります。

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PROPHESEE Metavision® Starter Kit
イベントベースビジョンセンサの“高時間解像度”のリアルタイム検出をAMD Kria™ KV260にて実現

ソニーとフランスのPROPHESEE社が開発したイベントベースビジョンセンサとAMD社のKriaを組み合わせた産業用組込みシステムです。今まではイベントベースビジョンセンサのデータ処理としてはPC上でしかできなかったが、今回FPGAにて実現することができたことにより、今後は、コンパクトかつ低消費電力でのシステムを構築することができます。従来の画像処理システムが抱えていたデータ量と処理速度の課題を解決し、次世代の産業用途に対応したセンシングシステムとして提案いたします。

PROPHESEE Metavision Starter Kitの展示。AMD Kria KV260開発ボード、イベントベースビジョンセンサーカメラ、インターフェースボードで構成されたデモセット。

特長

本システムの最大の特徴は、イベントベースビジョンセンサのデータをFPGA上で処理できるようにしたことです。イベントベースビジョンセンサはその特性から独自のデータフォーマット(EVT3.1)を有しています。 それ故にこれまではPCでの処理を行っておりましたが、今回AMD社のKriaを使いFPGA上でデータ処理を実現することを可能にしました。
これによりPCレズでの運用が可能となり、システム全体のコンパクト化と高速化を両立しました。

用途

工場での製造ラインにおける高速移動する物体の検知や、プライバシーに配慮が必要な監視・インフラシステムなど、幅広い用途でご活用いただけます。さらに港湾でのコンテナ追跡システムや溶接工程での品質管理、高速ロボットアームの制御など、従来のカメラシステムでは対応が難しかった高速処理が要求される現場でもご利用いただけます。
データ量を抑えられることから、IoTシステムとの親和性も高く、スマートファクトリーの実現に向けた重要なコンポーネントとして機能します。

導入効果

本システムの導入により、処理速度の大幅な向上とデータストレージコストの削減を同時に実現できます。従来のPCベースのシステムと比較して、設備投資の削減や運用コストの低減が可能です。また、組込みシステムとして実装できることで、システム構築の簡素化や保守管理の効率化にも貢献します。特に製造現場において、タクトタイムの短縮や品質管理の精度向上など、生産性の向上に直結する効果が期待できます。

製品詳細
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PALTEK/レスターが展示した製品に関するお問い合わせは以下よりお問い合わせください。

「EdgeTech+ 2024」とは?

「EdgeTech+ 2024」の概要は以下の通りです。

PALTEKとレスターの共催による展示会ブース。白と青を基調としたブースデザインで、各社のロゴが掲示されている。来場者がデモ展示を見学し、スタッフと対話している様子。ブース内には情報パネルやデモンストレーション用のディスプレイが設置されている。
名称 EdgeTech+ 2024
会期 2024年11月20日(水)~22日(金)
会場 パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
入場 無料(全来場者登録入場制)
主催 一般社団法人 組込みシステム技術協会

「EdgeTech+ 2024」は、今年で25周年を迎え、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、「共創」によって未来を描くことを趣旨に、本年は「Innovation for All」をテーマに掲げていました。

レスターグループは、「あまねく市場にPR」をテーマに、PALTEK(P)とレスター(R)が「外観検査、周辺監視、人流解析」に関する組み込みデバイスソリューションのデモンストレーションを実施しました。