
EU新包装規則(PPWR)の適用開始により、EU向けに商品を輸出する企業を含む梱包担当者が、梱包材の選定基準を見直す必要に迫られています。本記事では、PPWRへの対応を進めるうえで紙緩衝材が選ばれる理由と、実際の選定ポイントを解説します。
この記事でわかること
- PPWR対応で、梱包材の選定基準がどう変わるのか
- 紙緩衝材とプラスチック系緩衝材の、規制対応の観点での違い
- Ranpakの紙緩衝材がPPWRにどう対応しているか
- 梱包材の切り替えを検討する際に、まず確認すべきポイント
2026年8月12日、欧州連合(EU)の新しい包装規則「包装・包装廃棄物規則PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)」の適用が始まりました。PPWRはEU市場に流通するすべての包装を対象としており、EU域内企業だけでなく、EU向けに商品を輸出する企業にも影響する規則です。プラスチックだけでなく紙・段ボールを含むすべての包装が対象で、リサイクル可能性や包装の最小化など、包装のライフサイクル全体に関わる要件が段階的に適用されます。※1
※1
「Packaging waste」European Union(参照日:2026/09/03)
これまで梱包材の選定では、コストや緩衝性能、調達性が重視されることが一般的でした。一方、PPWRでは包装のリサイクル可能性や包装量の削減といった要件への対応も求められます。以前の記事「海外輸送の常識が変わる?プラスチック規制強化に対応する、紙緩衝材という選択」ではバーゼル条約改正によるプラスチックごみの輸出規制強化を取り上げました。
本記事は、その続編として、PPWRという新たな規制の観点から梱包材選定を考えます。

世界的な脱プラスチックの流れを受け、海外輸送の現場でも変化が求められています。プラスチック緩衝材の使用を見直し、環境負荷の低い代替素材への転換が急務となっています。
この記事では、強化される一方のプラスチック規制と、その対応策として注目される紙緩衝材について解説していきます。
1. PPWR施行で変わる物流現場:梱包材選定の基準が変わる
梱包材選定基準の変化
PPWRでは、包装のリサイクル可能性や包装量の削減など、包装の環境性能に関する要件が段階的に導入されます。そのため、梱包材の選定においても、従来から重視されてきた緩衝性能やコスト、調達性に加えて、規則への適合性を含めて評価することが重要になります。
特にPPWR第24条では、輸送用包装、集合包装およびEC包装を対象として、包装内部の空きスペースの割合(空隙率)を最大50%とする要件が定められています。なお、紙緩衝材やエアピローなどの充填材で埋められた空間も空隙として扱われます。※2
こうした要件に対応するため、段ボール箱のサイズや緩衝材の使用量についても、空隙率要件への適合を考慮した設計が求められます。
※2
「PPWR:欧州の循環型包装の未来の中心に『最適サイズ梱包』」Ranpak(参照日:2026/09/03)
対応遅れのリスク
PPWRの適用対象となる包装については、規則で定められた要件への適合が求められます。適合していない場合、EU市場への上市や販売に影響が生じる可能性があります。
PPWRでは要件ごとに適用開始時期が異なるため、自社包装への影響確認や代替資材の評価、梱包設計の見直しには一定の準備期間を要する場合があります。また、PPWRが定める要件は空隙率やリサイクル可能性だけではありません。再使用(Reuse)の促進やプラスチック包装への再生材使用比率など、包装全体に関わる要件が段階的に導入されます。そのため、梱包材を選定する際は、緩衝材単体ではなく、外装箱を含めた包装システム全体として適合性を検討することが重要です。
2. 紙緩衝材とPPWR:プラスチック系緩衝材との比較
PPWRへの対応を考えたとき、選択肢の一つになるのが紙緩衝材への切り替えです。プラスチック系緩衝材と比較すると、規制対応の観点で次のような違いがあります。
ただし、比較表はあくまでPPWR対応の観点に絞った整理です。実際の梱包材選定では、規制への適合性に加えて、商品の保護性能や運用上の条件も合わせて確認する必要があります。
表1:紙緩衝材とプラスチック系緩衝材:PPWR対応の比較一覧
| 比較項目 | 紙緩衝材(Ranpak) | プラスチック系緩衝材 |
|---|---|---|
| 有害物質規制(第5条) | Ranpakは適合を宣言書で表明 | 素材・産地によって適合状況の確認が必要 |
| リサイクル可能性(第6条) | 単一素材(紙)で構成されている | 素材構成によってはリサイクル適性の確認が必要 |
| 包装の最小化(第10条) | 使用量を管理・最適化できる設計により、空隙を抑えやすい(Ranpak社適合宣言書) | あらかじめ充填した状態で届くため、使用時には包装全体として空隙率要件への適合確認が必要 |
| 適合状況の文書化 | 適合宣言書を発行 | メーカーにより対応が分かれる |
紙緩衝材は単一素材(紙のみ)で構成されているため、複合素材になりがちなプラスチック系緩衝材と比べてリサイクル性を説明しやすいという特徴があります。また、Ranpakの紙緩衝材のように、製品保護に必要な分だけを現場で生成できるソリューションであれば、包装の最小化という観点からも対応しやすくなります。
用途別の製品選び:保護性能と環境対応を両立するために
なお、上表はPPWR対応の観点に絞った比較です。実際の選定では、商品のサイズや重量、輸送条件に応じて、必要な緩衝性能を確保することも同様に重要です。Ranpak製品を用途に応じて使い分けることで、環境対応と保護性能を両立することが可能です。
・FillPak🄬(フィルパック):箱の中の隙間を埋める、すき間埋め用途の製品です。必要な時に必要な分だけオンデマンドで生成できるため、梱包対象物や箱のサイズに合わせて、必要量を調整しながら使用できます。
・Geami🄬(ジアミ):特許を取得したダイカット入りクラフト紙で商品を包む、ラッピング用途の製品です。形状に沿って美しく、かつしっかりと商品を保護できます。
プラスチック系緩衝材からの切り替えを検討する際は、こうした比較表を参考にしながら、自社の梱包物に必要な保護性能とPPWR対応を両立できる製品を選ぶことがポイントです。
3. RanpakのPPWR対応状況
Ranpak社は、EU包装・包装廃棄物規則(Regulation (EU) 2025/40)への適合を表明する宣言書を発行しています。2026年9月時点では、要件内容が明確になっている第5条・第6条・第10条への適合を宣言しています。
なお、Ranpakは今後追加されるPPWRの要件についても、2028年以降の施行スケジュールに沿って適合できるよう準備を進めており、サプライヤー各社の管理体制も含めて対応を進めています。
適合宣言書は、導入いただいているお客様への提供や、サプライヤー審査、社内稟議の際の根拠資料として活用できます。
対応の根拠となる素材構成や認証情報の詳細については、以下よりお問い合わせください。
まとめ:梱包材の切り替えは、早めの検討が鍵
PPWRは、要件ごとに適用時期が異なる規制です。空隙率50%ルールのように数年先に本格適用される要件もありますが、切り替えには一定の検討期間が必要になります。現在プラスチック系緩衝材を使用している場合は、次の3点から確認を始めてみてください。
- 現在使用している箱は、商品に対して大きすぎないか
- 緩衝材は何の素材でできているか
- 緩衝材メーカーから、適合状況に関する情報を入手できるか
この3点を確認するだけでも、自社がPPWR対応にどれくらい近いか、あるいは遠いかが見えてきます。特に、緩衝材メーカーから適合状況の情報を得られない場合は、切り替えを検討するタイミングかもしれません。
PALTEKでは、Ranpakの紙緩衝材について、商品の形状や梱包方法に合わせた製品選定をご提案しています。「プラスチック系緩衝材から紙に切り替えたい」「PPWR対応を進めたい」という方は、お気軽にご相談ください。

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「プラスチック系緩衝材から紙に切り替えたい」
「PPWR対応を進めたい」
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本記事は2026年8月時点で公開されている情報をもとに作成しています。具体的な適用範囲や事業者ごとの義務については、最新のEU公式情報をご確認ください。
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