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ソフトウェア設計者向けの無償FPGA開発環境「Vitis」

ソフトウェア設計者向けの無償FPGA開発環境「Vitis」

高速に演算処理をしなければならない分野で、FPGAという半導体が注目を集めています。
ハードウェア設計者の皆様にはFPGAはお馴染みかもしれませんが、ソフトウェア設計者の皆様は「よく分からない」、「取り扱いが難しい」と思われているのではないでしょうか。

この記事では、そのようなソフトウェア設計者の皆様向けに開発されたFPGA設計環境「Vitis™」について紹介したいと思います。

目次

 

FPGA開発環境「Vitis」

ザイリンクス社のFPGA開発環境「Vitis」をご存知でしょうか?

Vitis は、「バイティス」と呼び、ソフトウェア処理をアクセラレートするツールです。
このツールの登場により、ハードウェアの知識がなくても、FPGAを設計できるようになりました。


そもそもFPGAを使うメリットは何でしょうか?

FPGAは「専用半導体」と「CPU/GPUのような汎用半導体」のちょうど中間な特性を持っています。
FPGAはハードウェア自体をアプリケーションに特化した形で作り込むことができるので、CPU/GPUのような汎用品とは比べられない性能を発揮することができます。

最近ではAIやクラウド/データセンター等において、FPGAというキーワードを聞くようになりましたが、5G等の通信機器や医療/産業分野では比較的馴染みのある半導体です。


今回お伝えしたいのは、「Vitis」により「ソフトウェア設計者の方にとってFPGAが使いやすくなりました」という話ではなく、このツールを使うことでユーザーは、「いかにハードウェアを活用して高速化できるか」の検証に100%の力を注ぐことができるということです

なぜ「ハードウェアの設計」ではなく、
「ハードウェアの活用」に注力できるのか?

VitisはFPGA版CUDAのような位置づけで、高位合成*だけでなくLinux OSに対応したAPIも自動生成されます。
(*高位合成:ソフトウェアプログラムからハードウェア記述を合成)

また量産対応PCIeカード「Alveo」をお使いいただくと、CPUと通信するためのFPGAハードウェアロジックとドライバも提供されますので、CPUからFPGAを動かす、呼び出すための仕組み作りに時間をかけなくてすみます。

つまりユーザーは「ハードウェアをいかに活用するか」ここだけに注力できます!

Vitisの機能は高位合成とAPI生成だけではありません。

Makefileの変更で異なるハードウェアへの実装が可能です。
本当にハードウェアを意識せず、エッジからクラウドまで共通のツールを用いてハードウェア開発を行うことができます。



Vitis活用の効果は?

Vitisはリリース間もない開発ツールにも関わらず、既に20社以上のソリューションベンダーが使用しており、たとえば音声認識やデータベースのクエリ処理などの、ソフトウェアライクな処理もハードウェアへ実装されています。

その結果、CPUよりも10倍以上高速に処理ができ、サーバー集約化によってのコストダウンを実現されている方もいらっしゃいます。

また元々GPUユーザーがFPGAを使い始めたという例もあります。

手軽に試せるVitis

このVitisはFPGAを触ったことがない方向けのツールなので、ほんとうにハードウェアの知識はいりません。

また、これだけ機能が充実されていても無償で、機能が追加された有償版などもございませんのでいつでもお気軽にご使用いただけます。

Vitisは以下URLよりダウンロードできますので、ぜひお試しください。

ザイリンクス社Vitis ウェブサイト:https://japan.xilinx.com/products/design-tools/vitis/vitis-platform.html


Developing Accelerated Applications


Vitisにはいくつかのライブラリがあります。
次回は、AIライブラリ・ツールキットである「Vitis AI」についてお伝えいたします。


今回の記事を資料化したものはこちらからダウンロードできますので、ご活用ください。