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【5G映像伝送】AWS Wavelengthを活用したSRT映像伝送実証実験 ~フジテレビ/KDDIと共同開催~

【5G映像伝送】AWS Wavelengthを活用したSRT映像伝送実証実験 ~フジテレビ/KDDIと共同開催~

2021年7月、PALTEKは株式会社フジテレビジョン(以下フジテレビ)、KDDI株式会社(以下KDDI)と共同でAWS Wavelengthサービスを活用した5G伝送実証に機器提供及び技術サポートの立場で協力をしました。
今回のブログでは、どのような実証を行ったのかを紹介します。

目次

AWS Wavelengthって何?

AWS Wavelength は、モバイルエッジコンピューティングアプリケーション用に最適化された、5G時代を見据えたAWSインフラストラクチャで、国内ではKDDIのみがAWSと協業を行っています。(2021/8現在)。

AWS Wavelengthでは、KDDIの5Gモバイルネットワーク上で動くAWSの各種サービスの利用でき、低遅延を必要とするアプリケーション向けに最適化されたAWSサービスを提供することが可能です。

5Gの高速・大容量・多接続・低遅延の特性を最大限に活用し、リアルタイムのフィードバックによりユーザのビジネスにおける新しい価値創出を支援するシステムです。またユーザ様で既にAWSを活用していれば、それらと連携することも可能です。


Wavelength Zoneは、5GネットワークのエッジにあるKDDIのネットワークセンター内にAWSのコンピューティングサービスとストレージサービスを組み込んだAWSのインフラストラクチャです。

このため、KDDIのネットワークから出ることなく、アプリケーショントラフィックをWavelength Zoneで実行されているアプリケーションサーバーに送信できます。

これにより、アプリケーショントラフィックが送信先に到達するまでに、インターネットで複数のホップを経由しなくてはならないことが原因で生じる遅延が回避され、お客様が最新の 5G ネットワークによって実現される低遅延と帯域幅のメリットを最大限に活かすことが可能になります。

AWS Wavelength Zones は、米国の 10 都市 (Verizon の 5G ネットワーク)、日本の東京及び大阪 (KDDI 5G ネットワーク)、韓国の大田 (SK Telecom の 5G ネットワーク)、ロンドン (Vodafone 5G ネットワーク) で利用できます。

フジテレビの取り組み

フジテレビでは、Wavelength及び5Gネットワークを活用することで、将来的には中継現場からのより簡易で低遅延な中継映像配信の実現を目指しています。今後2年後くらいには5Gネットワークが国内カバー率で99%程度まで拡張されることを見据え、5Gを活用した実証を行うこととなりました。
フジテレビでは既にAWS上にHaivision/SRTGatewayを設置し活用しているため、Wavelengthの構築もより容易なものとなります。

将来的には5Gルータや小型エンコーダ等を持ち歩き中継が可能となることを想定し、また既存AWSの活用も可能であることからWavelengthシステムに着目しました。
さらには中継の現場で気になる遅延についても、インターネット網を通ることなく、KDDIの5Gネットワークを通じ直接AWSにアクセスが可能となるため、物理的な伝送距離が短くなり低遅延の実現が可能であることから、活用の幅が広まることを予測しています。
加えて、5Gではパケットの優先制御が可能となるため、4Gのように輻輳をしないことや、ローカル5Gでの100台規模のカメラ中継についても低遅延で配信が可能となります。

実証内容

既存AWS(インターネット経由)とWavelength及び4G/5GネットワークでのRTT・遅延・パケットロスやバッファサイズ等の検証を行いました。

実施日時 2021年7月14日(水)13:00~18:00
場所 東京虎ノ門KDDI DIGITAL GATE

実証構成図

実証構成図

 

使用した4G/5Gルータ

使用した4G/5Gルータ

遅延測定:左が現時点、右がデコード後

遅延測定:左が現時点、右がデコード後

実証風景

実証風景

実証結果

クラウド遅延に関する検証結果は以下の通りです。
5Gにおいて、Wavelength ZoneにSRT Gatewayを配置することでクラウド遅延は 約1/2の遅延量となり、想定通りの結果となりました。

回線 クラウド クラウド遅延
5G Availability Zone 238ms
WaveLength Zone 113ms

※上記クラウド遅延とは、網遅延+Gateway(EC2)での処理遅延を意味します

PALTEK提供のコーデック装置

Makito X4エンコーダ

Makito X4エンコーダ

機能

H.264, HEVCエンコーダ

8エンコードコア内蔵

SD/HD/3G SDI、12G-SDI入力対応

4:2:2 10-bit/HDR対応/IPネットワーク対応

UDP/RTP/SRT

マルチチャンネルエンコード対応

PALTEK提供のデコーダ

Makito X4デコーダ

Makito X4デコーダ

機能

H.264, HEVCデコーダ

SD/HD/3G SDI、12G-SDI入力対応

IPネットワーク対応

4:2:2 10-bit/HDR対応/IPネットワーク対応

UDP/RTP/SRT

マルチチャンネルデコード対応

PALTEKでは本実証実験のうち、Haivision製エンコーダ・デコーダの提供及びその技術支援、遅延測定の結果報告を対応させていただきました。

PALTEKはHaivision国内正規代理店として各種Haivision製品を取り扱っており、SRTプロトコルに関する幅広い知見や豊富な実績を有しています。そのため、このような実証試験にも多く参加させていただき、機材提供や技術サポートなども行っています。PALTEKは今後もフジテレビ及びKDDIにおける5G伝送検証に協力をさせていただきます。

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