評価だけでは終わらせるな!AMD社Kria™ SOMを活用したエッジAI開発設計

皆さん、こんにちは。
FPGAを用いた組み込み開発を行う方々にとって注目の製品であるAMD社のKria™ 適応型システム オン モジュール(Kria™ SOM)についてご存知でしょうか。
Kria™ SOMは、FPGAの最新動向を知りたい方やエッジデバイスとしてSOMを検討されている方にとって注目すべき製品で、Programable Logicを活用しディープラーニングユニット(DPU)を組み込むことで、高速なハードウェアアクセラレーションを実現します。
豊富なリファレンスデザインが用意されおり、すぐに評価を開始できます。
本ブログでは、
- Kria™ SOMの基本的な概念とマルチセンシング技術に興味をお持ちの方
- FPGAの最新動向を知りたい方
- Kria™を用いた開発事例が気になる方
- エッジデバイスとしてSOMを検討されている方
などに向け重要な情報をお伝えしていきます。
それでは始めましょう。
目次
- 1. Kria™ SOMのメリット
- 1-1. ボード設計に関わる工数の削減
- 1-2. 量産継続性と拡張性
- 1-3. 電源設計の簡略化
- 1-4. ブートデバイス & メモリデバイス
- 1-5. インターフェース設定
- 1-6. 豊富な設計資料
- 1-7. 資料ダウンロード
- 2. おわりに
Kria™ SOMのメリット
Kria™ SOMは従来の評価ボードとは異なり、AMD社のFPGAを搭載したボードレベルの製品です。量産対応可能なことが最大の特長で、ハードウェア設計に関わる工数を削減することができます。
Kria™ SOMを設計に活用いただくことで、ハードウェアではどのようなメリットがあるのか、また活用いただく際のツールフローについて説明していきます。
図1. Kria™ SOMとは
ボードレベルであると何が良いのでしょうか。具体的に見ていきます。
1-1. ボード設計に関わる工数の削減
設計に関する時間を短縮するだけでなく、回路設計における検証にかかる時間も劇的に短縮されます。既に実装されている部品が複数存在しており、そのコードを選んで使用することで、設計変更や検証作業を効率的に進めることができます。
1-2. 量産継続性と拡張性
Kria™ SOMは長期供給性を持つ製品で、10年間供給される製品となっています。
またIOの自由度を活かし継続的な量産リリースができ、さらにキャリアボードのみ変更のプラットフォーム化による拡張性が期待できます。
これらのメリットにより、開発費の削減と初期設計にかける時間の短縮が実現できます。
1-3. 電源設計の簡略化
従来のチップレベルの製品に比べて、モジュールに必要な電源電圧の系統数を大幅に削減でき、電源シーケンスの考慮も不要です、電源設計における工数を削減することができます。
図2. コア電圧、バッテリ、PL IO電圧のみ
図3. 電源シーケンスを簡略化
1-4. ブートデバイス & メモリデバイス
SOMにはブートデバイスが実装済で、コンフィグ回路検討の削減ができます。キャリアカードへSDを実装することでブートデバイス拡張も可能です。
図4. QSPI、eMMC実装により回路設計の手間を削減
さらに、高速メモリであるDDR4メモリを実装しているため、高速インターフェースのSIシミュレーションなどが不要で、回路設計も不要です。
表1. 実装済みのメモリ
デバイス | Partナンバー |
---|---|
K26 SOM-QSPI Memory | Micron社:MT25QU512ABB8E12 |
K26 SOM-eMMC Memory(N/A Starter Kits) | Micron社:MTFC16GAPALBH |
K26 SOM-DDR4 Memory | Micron社:MT40A512M16LY-062E |
1-5. インターフェース設定
ボードレベルのコネクタと、FPGA-コネクタ間の割当は固定化されていますが、FPGA側でIOの設定等Pin割り当てを変更するなど、データフローの固定化される競合他社製品に比べ、システム要件にあわせたインターフェースの変更が可能です。
先々の設計を見据えてIOを用意しておき、そこに回路を追加して、IOを拡張していくFPGAならではの拡張性を持つSOM製品となっています。
図5. インターフェース設定
1-6. 豊富な設計資料
評価ボードにリファレンスが用意されており、これを参考にして設計を行うことで、設計に関連する工数を更に削減できます。チェックリストや設計ガイドラインなど、多くのドキュメントが提供されているため、効率的な設計が行えます。
表2. ドキュメント資料について
以上ここまでは、Kria™ SOMのボード設計におけるメリットを紹介させていただきました。
1-7. 資料ダウンロード
本ブログでご紹介した内容を資料で確認されたい場合は、以下よりダウンロードが可能です。
2. おわりに
いかがでしたでしょうか。
Kria™ SOMはAIのアクセラレーションに向けて、エッジ側のデバイスとして使用いただくケースが非常に多い製品となっています。
本ブログでは、Kria™ SOMのメリットを中心に紹介しました。Kria™ SOMを使用することでハードウェア設計に関わる工数を削減することができます。
少しでもご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください!
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