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評価だけでは終わらせるな!AMD社Kria™ SOMを活用したエッジAI開発設計

評価だけでは終わらせるな!AMD社Kria™ SOMを活用したエッジAI開発設計

皆さん、こんにちは。
FPGAを用いた組み込み開発を行う方々にとって注目の製品であるAMD社のKria™ 適応型システム オン モジュール(Kria™ SOM)についてご存知でしょうか。

Kria™ SOMは、FPGAの最新動向を知りたい方やエッジデバイスとしてSOMを検討されている方にとって注目すべき製品で、Programable Logicを活用しディープラーニングユニット(DPU)を組み込むことで、高速なハードウェアアクセラレーションを実現します。
豊富なリファレンスデザインが用意されおり、すぐに評価を開始できます。

本ブログでは、

  • Kria™ SOMの基本的な概念とマルチセンシング技術に興味をお持ちの方
  • FPGAの最新動向を知りたい方
  • Kria™を用いた開発事例が気になる方
  • エッジデバイスとしてSOMを検討されている方

などに向け重要な情報をお伝えしていきます。

それでは始めましょう。

目次

Kria™ SOMのメリット

Kria™ SOMは従来の評価ボードとは異なり、AMD社のFPGAを搭載したボードレベルの製品です。量産対応可能なことが最大の特長で、ハードウェア設計に関わる工数を削減することができます。

Kria™ SOMを設計に活用いただくことで、ハードウェアではどのようなメリットがあるのか、また活用いただく際のツールフローについて説明していきます。

図1. Kria™ SOMとは

ボードレベルであると何が良いのでしょうか。具体的に見ていきます。

1-1. ボード設計に関わる工数の削減

設計に関する時間を短縮するだけでなく、回路設計における検証にかかる時間も劇的に短縮されます。既に実装されている部品が複数存在しており、そのコードを選んで使用することで、設計変更や検証作業を効率的に進めることができます。

1-2. 量産継続性と拡張性

Kria™ SOMは長期供給性を持つ製品で、10年間供給される製品となっています。
またIOの自由度を活かし継続的な量産リリースができ、さらにキャリアボードのみ変更のプラットフォーム化による拡張性が期待できます。

これらのメリットにより、開発費の削減と初期設計にかける時間の短縮が実現できます。

1-3. 電源設計の簡略化

従来のチップレベルの製品に比べて、モジュールに必要な電源電圧の系統数を大幅に削減でき、電源シーケンスの考慮も不要です、電源設計における工数を削減することができます。

図2. コア電圧、バッテリ、PL IO電圧のみ

図3. 電源シーケンスを簡略化

1-4. ブートデバイス & メモリデバイス

SOMにはブートデバイスが実装済で、コンフィグ回路検討の削減ができます。キャリアカードへSDを実装することでブートデバイス拡張も可能です。

図4. QSPI、eMMC実装により回路設計の手間を削減

さらに、高速メモリであるDDR4メモリを実装しているため、高速インターフェースのSIシミュレーションなどが不要で、回路設計も不要です。

表1. 実装済みのメモリ

左右にスクロールしてご覧ください
デバイス Partナンバー
K26 SOM-QSPI Memory Micron社:MT25QU512ABB8E12
K26 SOM-eMMC Memory(N/A Starter Kits) Micron社:MTFC16GAPALBH
K26 SOM-DDR4 Memory Micron社:MT40A512M16LY-062E

1-5. インターフェース設定

ボードレベルのコネクタと、FPGA-コネクタ間の割当は固定化されていますが、FPGA側でIOの設定等Pin割り当てを変更するなど、データフローの固定化される競合他社製品に比べ、システム要件にあわせたインターフェースの変更が可能です。

先々の設計を見据えてIOを用意しておき、そこに回路を追加して、IOを拡張していくFPGAならではの拡張性を持つSOM製品となっています。

図5. インターフェース設定

1-6. 豊富な設計資料

評価ボードにリファレンスが用意されており、これを参考にして設計を行うことで、設計に関連する工数を更に削減できます。チェックリストや設計ガイドラインなど、多くのドキュメントが提供されているため、効率的な設計が行えます。

表2. ドキュメント資料について

左右にスクロールしてご覧ください
ドキュメント 番号 URL
K26データシート DS987 https://docs.amd.com/r/en-US/ds987-k26-som
K26 SOM 機能概要、インターフェース概要、コネクタPin配置、一部AC/DCスイッチング特性を記載
Zynq UltraScale+ MPSOC データシート DS925 https://docs.amd.com/r/en-US/ds925-zynq-ultrascale-plus/Summary
Zynq Ultrascale+ MPSOC AC/DC スイッチング特性を記載
※DS987と併せて確認が必要
熱設計ガイドライン UG1090 https://docs.amd.com/r/en-US/ug1090-k26-thermal-design
K26 SOM 熱設計ガイドライン
キャリアカード設計ガイドライン UG1091 https://docs.amd.com/r/en-US/ug1091-carrier-card-design
キャリアカード設計における留意点を記載
KV260評価ボード回路図 XTP682 https://japan.xilinx.com/member/forms/download/design-license.html?cid=3eb7e365-5378-461f-b8b0-bb3dad84eb4e&filename=xtp682-kria-k26-carrier-card-schematic.zip
KV260キャリアボードの回路図、リファレンス回路として参考情報
KV260評価ボード部品表 XTP713 https://japan.xilinx.com/member/forms/download/design-license.html?cid=be482139-48ac-4884-b53f-cabc7ae834a4&filename=xtp713-kria-k26-carrier-card-bom.zip
KV260キャリアボードの部品表、リファレンス回路として参考情報
K26 XDC XTP685 https://japan.xilinx.com/member/forms/download/design-license.html?cid=29e0261a-9532-4a47-bb06-38c83bbbb8c0&filename=xtp685-kria-k26-som-xdc.zip
SOMコネクタとデバイスPin配置の確認に利用可能
回路図チェックリスト XTP748 https://www.xilinx.com/member/forms/download/design-license.html?cid=4b1f34ec-ad81-4649-b81c-93a271650824&filename=xtp748-kria-som-schematic-review-checklist.zip
K26 SOM 端子の回路図チェックリスト、回路設計時のお供に
K26 Wiki   https://xilinx-wiki.atlassian.net/wiki/spaces/A/pages/1641152513/Kria+K26+SOM
直接回路設計に関する情報は少ないがK26関連の様々な情報を記載

以上ここまでは、Kria™ SOMのボード設計におけるメリットを紹介させていただきました。

2. おわりに

いかがでしたでしょうか。
Kria™ SOMはAIのアクセラレーションに向けて、エッジ側のデバイスとして使用いただくケースが非常に多い製品となっています。

本ブログでは、Kria™ SOMのメリットを中心に紹介しました。Kria™ SOMを使用することでハードウェア設計に関わる工数を削減することができます。
少しでもご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください!

 

Kria™ SOMに関するお問い合わせはこちらから

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