「Micron NVMe™ Gen5 SSD 9550」パフォーマンス評価:Gen4環境で見るGen5 SSDの実力【後編】

本記事では、Micron NVMe Gen5 SSD 9550と前世代の9400を、9400にとって最も有利な条件である「4Kランダムライト」で徹底比較します。
前編に引き続き、Micron社のエンタープライズ向けハイエンドSSD 「Micron NVMe Gen5 SSD 9550」(以下9550)の30.72TBモデルを対象に、fioによる実測データをもとに結果をお伝えします。
前編:「Micron NVMe™ Gen5 SSD 9550」パフォーマンス評価:Gen4環境で見るGen5 SSDの実力【前編】
この記事でわかること
- 4Kと16Kのブロックサイズ違いがSSDパフォーマンスに与える影響と、その技術的背景
- Micron 9550(Gen5)と9400(Gen4)のデータシートスペック比較(NAND世代・DRAM・ONFI・コントローラなど)
- Gen4サーバ・9400有利のブロックサイズ条件下での実測結果(fioによる30.72TBランダムライト)
- 9550が9400に対して約1.37倍の書き込みスループットを実現できる理由の考察
- PCIeインターフェース世代だけに依存しないSSD性能評価の考え方と、導入判断への示唆
1:はじめに-4Kランダムライト比較を行う理由 ブロックサイズとSSD最適化の関係
「最高のSSDを使っても、そのプラットフォームが最高の性能でなければ最高のパフォーマンスは発揮できない。……本当にそうでしょうか?」 前回のブログはこの問いかけで始まりました。
第二回である今回は、9550と9400にブロックサイズ4Kで書き込みを行った際のパフォーマンス比較結果の報告レポートです。
さて、書き込みデータが前回はブロックサイズ16K、今回はブロックサイズ4K。まずこの違いが何であるのかを整理していきます。
SSDはすべて同じアクセスサイズを好むわけではありません。
コントローラとNANDの設計によって、あるSSDでは16KB I/Oで最高のスループットを発揮するよう設計されている場合もあれば、別のSSDでは4KB I/Oで最適化されている場合もあります。この設計差は、コントローラのバッファ管理やNANDへの書き込み単位の違いに起因します。
今回の比較するSSDでは、9550は16Kに最適化されていて、9400は4Kに最適化されています。
つまり、ブロックサイズはホストからのリード/ライトの命令とSSDとがどれだけ効率的に整合するかを決定するための大切な指標となります。
前回のブログにおいては16Kでのアクセスを行っており、9550は最適なブロックサイズで動作していましたが、9400は最適ではないブロックサイズでの動作でした。
したがって、9550の設計とブロックサイズとが一致していたため、当然テストでは9550が有利になりました。
そして、今回の測定に用いた4Kというブロックサイズは9400の設計と一致しているため、9400が有利になります。
このように、16Kと4Kの両方の条件で測定することで、ようやく9550が本当に9400より優れた性能を発揮することができるのかを確かめることが可能となります。
なお、9400は9550と同じシリーズのSSDです。9400の詳細については以前のブログ、メモリ基本講座【番外編】「NVMe Gen4 SSD 9400」のパフォーマンスを評価してみた【第1回】をご確認ください。
2:Micron SSD 9550 PROの概要
9550シリーズと呼ばれる本SSDは、Micron社のエンタープライズ向けハイエンドSSDです。基本スペックなどの簡単な概要は、前回のブログでご紹介しております。以下に記載しておりますのでご確認ください。
前回のブログ:「Micron NVMe™ Gen5 SSD 9550」パフォーマンス評価:Gen4環境で見るGen5 SSDの実力【前編】

3:スペック比較 9550 vs 9400
9550と、前回のブログで紹介した9400との比較を行います。まず、データシートで比較をし、そのあとに実測データに基づいて比較します。
①データシートスペック
データシートにおける9550と9400の基本スペックの比較は以下の通りです。(表2)
| 9550 | 9400 | |
|---|---|---|
| Capacity | PRO: 30.72TB | PRO: 30.2TB |
| NAND | 3D eTLC 232L | 3D eTLC 176L |
| Interface | PCI Gen5 x4 | PCI Gen4 x4 |
| Controller | Micron | MICROCHIP |
| NVMe Protocol | NVMe 2.0b | NVMe 2.0b |
| DRAM | LPDDR5 | DDR4 |
| DRAM Transfer Rate | 8533 MT/s | 6400 MT/s |
| ONFI | 5.0 NV-LPDDR4 (2.4 GT/s) | 4.2 NV-DDR3 (1.6 GT/s) |
| Warranty | 5-years | 5-years |
| Performance: Random Write 4K | Up to 720 KIOPS (2812.5 MB/s) |
Up to 600 KIOPS (2343.8 MB/s) |
| DWPD | PRO: DWPD1 | PRO: DWPD1 |
表2の通り、9550の方が優れたスペックを示しています。
大きな違いとして、インターフェイスがPCI Express Gen4からGen5へ変更されています。またNANDの世代が進んだことで積層数は176層から232層へ、ONFIの世代は4.2から5.0へ進み、転送速度が1.6GT/sから2.4GT/sへ向上しました。さらに、コントローラも他社製のものからMicron製のコントローラへ変更されました。
この違いは、NANDフラッシュの物理構造に起因します。NANDは「ページ(4KB~16KB)」単位で読み書きし、「ブロック(1~4MB)」単位で消去する階層構造を持っています。
ランダムライト: 1回の書き込みでページサイズと一致する量とします。128KBのような大きなランダム書き込みでは、複数ページにまたがって無駄が発生し、既存データとの混在によりガベージコレクションが頻発するためです。
シーケンシャルライト: 約32ページ分の連続データが順次書き込まれるため、ページ利用効率が最大化され、複数プレーンの並列性も活用できます。連続書き込みによりブロック全体を効率的に埋められるため、将来の消去処理も効率的になります。
このように、NANDフラッシュの「ページ単位での読み書き」と「ブロック単位での消去」という物理制約によってランダムライト、シーケンシャルライトでの最適な書き込みブロックサイズが異なります。
②試験環境紹介
1. SSD
・9550 SSD Series (PCIe® Gen5): 30.72 TB

・9400 SSD Series (PCIe® Gen4): 30.72 TB

2. サーバ
表3. をご確認ください。
| サーバ | Ultra A+ Server AS -2024US-TRT (Supermicro) |
|---|---|
| CPU | AMD EPYC Rome 7302 (3GHz,16Core) x2 |
| メモリ | DDR4-3200 RDIMM 32GB x4 (合計128GB) |
| OS | Ubuntu Server 24.04.2 LTS |

出典: Ultra A+ Server AS -2024US-TRT (Supermicro)
3. ツール
パフォーマンスの測定にはfio-2.1.3を使用しました。
今回はランダムライトアクセスで9550と9400のパフォーマンスを比較しています。条件は以下の通りです。
ブロックサイズ4Kは、 9400のデータシート上で規定されている9400の性能を最も発揮できるブロックサイズとのことです。
9550の最適サイズである16Kでの測定結果は、前回のブログ記事をご確認ください。
| アクセス方法 | ランダムライト |
|---|---|
| ブロックサイズ | ランダム:4K |
| QD | 32 |
| 測定容量 | 30.72TBを2周 |
| プレコンディション | Seq-write, bs=128k, loops=2 |
4:測定
fioコマンドを実行し、パフォーマンスを測定します。
①測定結果

グラフの縦軸が書き込み量、横軸は時間を示します。青色が9550、オレンジが9400です。
グラフの線が短いほど書き込みの完了が速いことを示し、グラフの線が高い位置にあるほど単位時間あたり(この場合1秒毎)の書き込み量が多いことを示します。
図4から、両SSDの完了時間はほぼ同等ですが、9550の方が単位時間当たりの書き込みスループットで優れていることがわかります。
今回の定常状態における9550と9400の書き込み量の差は約0.47GBです。16Kのときほど大きな差は生じませんでしたが、9550は9400と比較して約1.37倍の書き込み量があるという結果になりました。
5:まとめ-Gen4環境でも9550がGen4 SSDを上回る理由
今回は9550と9400をランダムライトで比較しました。
Gen4のサーバを用い、さらに9400にとって最も有利なブロックサイズ4Kという環境下でしたが、それでも確かな差をつけて、9550はその優位性を示しました。
この理由は、NANDの世代進化、DRAMの転送向上、NANDへの書き込み速度向上など、複数の要因が関係していると考えられます。 このように、SSDの書き込みのパフォーマンスはPCIeの世代だけに依存しているものではないことが明らかになりました。
使用しているサーバがSSDの速度に追いついていないからといって、新しいSSDを見送ることは必ずしも最善の選択肢とはなりえません。
運用時にはQDやブロックサイズをアプリケーションや書き込む量に合わせてカスタマイズしたり、RAIDを構築したりと、本記事の評価とは異なる構成になると考えられます。そのため、本結果はあくまで参考値としてご参照ください。
導入や評価に関するご相談、製品の詳細仕様についてのご質問は、下記よりお問い合わせいただけます。
関連ブログ
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