メモリ基本講座【番外編】「NVMe Gen4 SSD 9400」のパフォーマンスを評価してみた【第1回】

本ブログは、Micron社の最新SSDである「NVMe Gen4 SSD 9400」(以下「9400」)の30.72TBのパフォーマンスをサーバで測定した結果を2回にわたりお伝えします。
第1回目は、「9400」と「NVMe GEN4 SSD 7450」(以下「7450」)のシーケンシャルアクセスでの単体評価を比較します。
「9400」は以前ご紹介した「7450」よりハイエンドモデルとなり、車で例えるならフェラーリ社のような高級車でしょうか。「7450」でソフトウエアRAIDを構築し、パフォーマンス測定した結果については以下のブログよりご確認ください。
なお、RAIDでも測定したかったのですが、「NVMe Gen4 SSD 9400」の30.72TB の価格もフェラーリクラスのため、弊社の経費の問題で1本用意するのが限界でした。
目次
1.「9400」はどんなSSD?
Micron社より176層3D TLC NANDが搭載された、NVMe Gen4対応の「9400」がリリースされました。
フォームファクタはU.3(U.2サーバでも動作可能)をサポートされており、Enterprise/データセンター、HPC向けにパフォーマンスを重要視したSSDとなります。
ハイエンドモデルでHDDの高容量帯がサポートされているので、弊社のお客様でも非常に興味を持たれる方が多い製品となります。
「9400」の詳細スペックは表1をご参照ください。
表1. 「9400」のスペック
出典: Micron 9400 SSD Product Brief
2.「9400」vs「7450」
今回は、以前ご紹介した「7450」と「9400」の比較をしてみたいと思います。
「7450」はMainstream製品で、MicronのNVMeでコストとパフォーマンスのバランスが取れたSSDとなり、多くのアプリケーションでの採用/評価実績があります。
「9400」は「7450」よりハイエンドモデルとなり、HPCやAI等、多くのデータを高速で処理しなければならないアプリケーションに向いているSSDとなります。
今回、「9400PRO 30.72TB」と「7450PRO 15.36TB」のパフォーマンス比較をします。容量が異なるため、単純比較は難しいのですが、各シリーズの最大容量での比較という意味でご容赦ください。
まず、データシートでのシーケンシャルアクセススペックを表2で簡単に比較してみました。
表2. 「9400 30.72TB」と「7450 15.35TB」のスペック比較
9400PRO 30.72TB | 7450PRO 15.36TB | |
Sequential Read (128KB) |
7,000MB/s:17W | 6,800MB/s:12.1W |
Sequential Write (128KB) |
7,000MB/s:23W | 5,600MB/s:16.6W |
コントローラ | 他社 | Micron |
NAND | Micron 3D TLC 176L | Micron 3D TLC 176L |
TBW (Random 4KB) |
56,064TB | 28,000TB |
DWPD | 1 | 1 |
MTTF | 200万時間 | 200万時間 |
Warranty | 5年間 | 5年間 |
表2を見ればわかる通り、「9400」のスペックが良い結果となっています。NANDは同じ3D TLC 176Lを採用していますが、コントローラが異なります。「9400」は他社製のコントローラを採用し、パフォーマンスに重点をおいたファームウエアとなっています。そのため、当たり前のことですが、消費電力は「9400」の方が高いです。では、実際にパフォーマンス測定をしたら、どのくらいの差分になるか確認をしてみましょう。
評価対象SSD
- 9400PRO:30.72TB
- 7450PRO:15.36TB
評価対象SSDは弊社にて検証機を準備しています。「少しでも評価してみたい」とお考えの方は、検証機を貸出しできますので、お気軽にお問い合わせください。
評価するサーバ
弊社で所有している検証機サーバで評価しました。
表3. サーバスペック
サーバ | Supermicro AS-2024US-TRT |
---|---|
CPU | AMD EPYC 7302 3.0GHz 16 Core |
メモリ | DDR4-3200 128GB |
OS | Ubuntu 22.04.1 LTS |
図1. AS-2024-US-TRT
出典:SUPERMICRO A+ Server 2024US-TRT (Complete System Only)
パフォーマンス測定ツール
今回のSSDのパフォーマンス測定では、fio-3.28を使用しました。
図2. fioのバージョン
fioのコマンドオプション
今回はシーケンシャルアクセスでデータシートスペックと同等なパフォーマンスが出るかを確認するため、以下の条件で測定しました。
今回はnumjobsで並列するジョブ数を8にしました。
表4. fio測定条件
アクセス方法 | シーケンシャルリード シーケンシャルライト |
---|---|
ブロックサイズ | シーケンシャル:128KB |
QD | 32 |
測定容量 | 9400:30.72TB 7450:15.36TB |
[Seq-Write]
thread
rw=write
bs=128k
norandommap=1
iodepth=32
numjobs=8
direct=1
group_reporting=1
ioengine=libaio
filename=/dev/nvme0n1
invalidate=1
size=100%
loops=1
[Seq-Read]
thread
rw=read
bs=128k
norandommap=1
iodepth=32
numjobs=8
direct=1
group_reporting=1
ioengine=libaio
filename=/dev/nvme0n1
invalidate=1
size=100%
loops=1
図3. fioのコマンド
3. fioで測定してみる
fioのコマンド実行
以下のコマンドを実行し、fioでパフォーマンス測定をします。
fio xxxx.fio --output xxxx.txt
xxxx.fio は図3で表示したコマンドが記載されたファイルになります。
今回は各SSDのシーケンシャルアクセスのAverageパフォーマンスを測定しました。
パフォーマンス結果
図4. 「9400」 vs 「7450」 シーケンシャルアクセスパフォーマンス比較
各2回測定した結果となり、測定時間としては、シーケンシャルリード、ライトそれぞれ、9400は約11時間、7450は約6時間になります。
測定前にnvme formatコマンドを実行し、フォーマット後、fioを実行しています。
図4の結果を見て分かる通り、当たり前ですが、9400のパフォーマンスが良いことが分かりました。
特にライトについては、約2,000MB/sの差が出ています。ライトのパフォーマンスを重要視する場合は、9400を選択した方が良いですね。
次回はランダムアクセスでの比較を実施します。
4. まとめ
今回は「9400」を「7450」と比較し、データシートスペック値が出ているか!?を確認するべく測定した結果をお伝えしました。
実運用時はRAIDを構築したり、QDやBlock Sizeをアプリケーションに合わせてカスタマイズしたりなど、本ブログの評価とは違った構成になると思います。そのため、この結果はあくまでも参考値として見ていただければと思います。
実は、今年6月~7月に「9400」についてウェビナーを企画しています。その時にさらに詳細なパフォーマンス測定を実施するので、お楽しみに!!
改めて、NVMe SSDについて知りたい!と思った方は、下記のブログを参照してください。
さて、次回ですが、「9400」 vs 「7450」のランダムアクセス時のパフォーマンス比較結果をセキララにお伝えします。