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メモリ基本講座「メモリカードとは何ぞや」

メモリ基本講座「メモリカードとは何ぞや」

 

NAND 搭載メモリカードの概要

メモリカードとは、カード状の記憶補助装置のことです。
ここでお話するのは、NAND フラッシュと NAND コントローラが搭載されているもの です。

メモリカードについて、CF カード、SD カード、microSDなど、名前は聞いたことがあるかと思います。SD カード、microSDは、皆さんスマホ、ドライブレコーダー、ゲーム機、デジカメでお世話になっていますよね?
今回は、その特徴を簡単に説明したいと思います。

 

CF (コンパクトフラッシュ)

サンディスクが、「これからはストレージ分野でフラッシュメモリの時代が来る!」との先見の明で、容量 20MB の SSD を IBM 向けに出荷したのが1991年。その3年後の1994年、4MB のコンパクトフラッシュメモリカードを世に送り出します。当時普及し始めたデジタルカメラのストレージ用に人気が高まりました。

「コンパクトフラッシュ」 という名称がサンディスクの商標のため、他のメーカでは 「CF」 や 「CFカード」 という名称を使用することが多いです。

 

CFast (シーファスト)

CF と概観は同じですが、インターフェースが SATA になり、転送速度が大幅に向上した製品です。SATA になったことでコネクタ形状が独自となったため、概観は同じでも CF との互換性はありません。

CFとCFastの違いは明確に表記すると下記のとおりです。

CF(コンパクトフラッシュ)

IF パラレルATA
容量 128MB ~ 128GB
転送速度 Read 50MB/s, Write 40MB/s 程度

CFast

IF シリアルATA ( SATA )
容量 4GB ~ 128 GB
転送速度 Read 460MB/s, Write 320MB/s 程度

用途

  • POSシステム、駅務設備、セキュリティシステムなどデータの書き換え頻度が高いもの
  • 医療、物流、工作機械など耐振動、高速起動、省電力、小型化が求められるもの
  • 金融端末やデジタルサイネージ、セキュリティ認証システムなど、高いデータ信頼性やセキュリティが求められるもの

 

MMC (Multi Media Card)

CF は大きくて携帯端末などでは使いにくいから、もっと小型のメモリカードがあるといいよね、というコンセプトで、1997年にシーメンスとサンディスクが共同で開発したのが MMC です。現在ではすでに廃れた製品ですが、SD カードを説明するにははずせないため、少々説明します。

CF を小さくするには、まずはピン数を減らさないとどうしようもないので、ハードウェア互換性を捨てました。データの転送方式をシリアルに変更し、主要な信号をデータ、コマンド、クロックの3つにし、インターフェースをわずか7ピンに縮小しました。書き込み速度は最大 2MB/s 程度です。

この、MMC を BGA パッケージにしたものが、「NAND応用製品(eMMC & SSD)」でご紹介した eMMC (Embedded MMC) です。

SD カード / microSD

MMC をベースにセキュリティ機能を実装したのが、東芝、パナソニック、サンディスクが共同で開発した SD メモリカードです。一般的には SD カード、と呼ばれています。

SD カードは MMC を発展させ、著作権保護機能を搭載したものです。「SD」 は "Secure Digital" の略であるといわれていますが、はっきりとした裏付けはないそうです。

規格自体は MMC とは別の、SD Association という規格団体が策定していますが、MMC とスロットを共用できるように設計されているのが大きな特徴です。

縦横サイズは同じですが、SD カードのほうが 0.7mm 厚くなっており、SD カードスロットには MMC を差し込むことができます(逆は物理的にできません)。端子も、MMC のピン配置に信号線を2本追加した仕様となっており、転送方式も MMC 互換のため、SD カードコントローラから MMC にアクセスすることが可能で、単純な記録メディアとして利用する限り互換性があります。
しかし、SD カードコントローラが MMC のデータを使えるかどうかは、ファイルフォーマットやセキュリティの問題が絡んでくるのでアプリケーション次第です。特にセキュリティを伴う場合には互換性はなくなります。追加された2本の信号線はデータ用で、MMC より高速な転送が行えるようになっています。

microSDはその名のとおり、SD カードをさらに4分の1程度に小型化したもので、汎用品として使われているリムーバブルメディアの中で最も寸法が小さいです。SD カードと電気的に互換性があるので、変換アダプタ等に装着すれば、SD カードとして使用することが可能です。容量規格も同じなので、microSDXC といった言い方をします。携帯電話の普及とその小型化に伴い、各メーカが携帯に microSD カードスロットを搭載したことから一気に普及しました。今では大容量化が進み、ゲーム機、ドライブレコーダー、監視カメラ等、様々なアプリケーションで採用されています。

SD カード / microSDはカードタイプ、スピードクラス等いろいろ種類があり、利用する機器の仕様に合ったカードを選ぶことが重要です。

図1 SDカードとmicroSD

図1 SDカードとmicroSD


SDカード/microSDの規格はSDアソシエーションで決めています。詳しくは、SDアソシエーションのホームページをご参照ください。

スピードクラス規格 : https://www.sdcard.org/jp/consumers/choices/speed_class/index.html
バスインターフェーススピード規格:https://www.sdcard.org/jp/consumers/choices/bus_interface/index.html


SDカードに搭載されるNANDも現在はTLCが主流です。産業用途向けなどの信頼性が高いアプリケーションではSLCのSDカードもまだまだ使用されています。また、逆にコストメリットがあるQLCのmicroSDもリリースされています。様々なアプリケーションで使用されることが多いSDカードは規格も多様化し、市場には様々な特色のあるSDカードが販売されています。使用するアプリケーションでSDカード/microSDを使い分けることができますね。

今回は「メモリカード」について解説しました。その他、「半導体メモリとは何ぞや」など、メモリ講座シリーズを掲載していますので、そちらもご覧ください。

PALTEKでは、DRAM、NOR Flash、NAND Flashについては Micron 、SRAMについては GSIテクノロジー の取り扱いをしています。

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