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【SiTime社】MEMS発振器と水晶発振器の違いとは

【SiTime社】MEMS発振器と水晶発振器の違いとは

皆さん、こんにちは。
MEMS発振器は脱水晶発振器からの置き換え需要、新規採用が増えていますが、2021年の年間販売個数約5億個を超えた世界No.1の発振器供給能力を保有するSiTime社についてご存じでしょうか。
今回はSiTime社のMEMS発振器と水晶発振器の違いについて紹介します。

それでは始めましょう。

目次

信頼性について

表1に、一般的な水晶発振器とSiTime社MEMS発振器の性能について比較します。

表1 一般的な水晶発振器とSiTime社MEMS発振器の性能比較

左右にスクロールしてご覧ください
項目 一般的な水晶発振器 SiTime社 MEMS発振器
平均故障間隔(MTBF) 1,400万~3,800万時間 19億時間
耐振動性 10 g vibration 70 g vibration
耐衝撃性 5,000 g shock 50,000 g shock
低電磁感受性(EMS) 基準 一般的な水晶発振器と比べ、外部EMIノイズに対する耐性は50倍優れている
電源ノイズ対策
(低感度)(PSNS)
基準 SiTime社の発振器回路には電源によるジッタから発振器を保護するノイズ低減回路が組み込まれている。一般的な水晶発振器と比べ、ノイズ周波数に対するジッタが10倍優れている
全動作温度範囲における周波数の安定 エアーフローやヒートガンなどで特性が暴れる TCXOなどの製品は全温度範囲で安定した動作

出典: 水晶発振器とSi-MEMS発振器の比較


半導体や電子デバイスの信頼性を語る上で平均故障間隔(MTBF)の予測があります。
半導体部品に関しては、MTBFは、10億時間の動作後に統計的に予想される故障の数として表される故障率(FIT:Failure In Time)の逆数です。
MTBFが高いほどデバイスの耐用年数は長く、したがって信頼性も高くなります。

図1. MEMS発振器 対 水晶発振器 : 平均故障間隔(MTBF)比較

出典: 水晶発振器とSi-MEMS発振器の比較


FITの低い値は、予想故障数が少なく信頼性が高いことを示しています。SiTime社製品は少なくとも10億時間のMTBFに相当する、1FIT未満の計算上の信頼率を有していると言えます。一般的な水晶発振器は約20FITに相当します。

SiTime社は6シグマの設計・開発構想を採用し、これまで20億個以上の出荷を行っていますが、MEMS振動子での故障返品はなく、0.5DPPM以下を維持しています。

またMTBF、FIT以外にも耐振動性、耐衝撃性、EMIノイズ耐性、電源ノイズ耐性などが、水晶発振器より性能面で上回っています。

SiTime社からは以下のレポートが公開されており、非常に優れた製品であることが証明されています。


また近年、SiTime製品は自動車分野で積極的に採用されています。これらはADASなどで使用されるLiDAR、カメラシステムが関係しています。
コネクテッドカーは、高性能なインフォテイメントシステムやワイヤレスシステムが増えているため、設計者はこれらのシステム同士が敏感に反応し合う周波数に存在する電磁波に十分な注意を払う必要があります。大量のデータを高速で転送するAIサーバー、ECUやADASカメラモジュールでは、電磁干渉(EMI)が問題になることがあります。

ノイズの最大の原因は、クロックです。電磁干渉は最終段階になるまで検知されないことなどが考えられます。そのため最終段階での設計修正が発生し、予定外の遅延やコスト増につながる恐れがあります。

図2. カメラモジュールなどに最適な電磁干渉低減機能を備えたMEMS発振器


この問題を解決するべく、SiTime社は初めてAEC-Q100準拠のスペクトラム拡散発振器(SSXO)であるSiT9025を発売しました。
このデバイスは0.25%の分解能で4%までの広いスペクトラム範囲を持ち、2016の極小パッケージで提供されます。

SiT9025はスペクトラム拡散クロックと、立ち上がり/立下り時間を調整してスルーレートを下げることができるFlexEdge™ プログラム可能なドライブ能力という2つの技術で電磁干渉を低減します。これらの技術を用いることで、SiT9025はノイズを最大30dB低減することが可能です。

車載品以外にも産業機器用途に差動出力のスペクトラム拡散発振器SiT9002や、シングルエンドCMOS出力のスペクトラム拡散発振器なども出荷しています。SiT9002などは100MHz SSCのPCI Expressクロックに最適です。

SiTime社のQFNパッケージは水晶発振器と簡単に交換することが可能なため、基板の変更や、高価な部品やシールドを使用することなく、コンプライアンステストに合格することができます。

図3. SiTime社MEMS発振器パッケージ

入手性について

SiTime製品の標準リードタイムは24週間になります。(2022年11月時点)
従来の8~12週間のリードタイムに向けて、短縮努力を継続しています。24週間未満でご入用の場合は個別調整をさせていただきますので、お気軽にお申しください。特に、新規プロジェクトの立ち上げや、他社タイミングデバイス製品の供給でお困りのケースなど、短納期がご要求されるケースでは、積極的に別枠調整を行い対応しています。また、開発試作での少量サンプルにつきましては、2~3週間で、お届けできる体制を整えています。

コストについて

他社タイミングデバイス製品に遜色ないご提案が可能です。ぜひ、お問い合わせください。

置き換え品名検索

以下表2にUSB3.0、Ethernet PHYの基準クロックで使用されることが多い25MHz ±50ppm 発振器(25MHz、±50ppm、-40~85℃、2.5mm x 2.0mm 発振器)の代表例を用意しました。皆さんがご使用されている水晶発振器の品名を使ってSiTimeに置き替えをしてみます。

表2 25MHz シングルエンドCMOS 水晶発振器品名

エプソン水晶デバイス社 SG-210STF25.000000MHzL
NDK社 NZ2520SH-25.000000M-NSC5005D
大真空社 DSO221SRAB25.000MHz

手順①

まず、初めに https://www.sitime.com/ にアクセスします。


手順②

SUPPORT/Cross Referenceを選択します。


手順③

FIND EQUIVALENT SITIME PARTSより品名検索を行います。
今回はエプソン製のSG-210STF25.000000MHzLを入力します。


手順④

検索結果で表示されます。あいまい検索では検索できないことがあるため、正しい品名をすべて入力して検索することをおすすめします。


手順⑤

以上の手順で、SiTime社製品の置き換え品が確認できます。
こちらから、参考価格も確認できますが、あくまで参考価格のため、量産価格については弊社に問い合わせいただければ幸いです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はMEMS発振器と水晶発振器の比較についてお伝えしました。
MEMS発振器への置き換え、新規採用をご検討の際は、ぜひとも弊社にお問い合わせください。


SiTime製品について
SiTime製品に関するお問い合わせはこちら

参考文献

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