より高い信頼性、耐久性とより多くの機能を備えたMEMS発振器

水晶振動子メーカーとは違いSiTime社内には技術者がいるのでMEMS振動子や発振器のICを自社開発 することができます。その技術を活用し、耐振性や性能を高め、利用者が信頼して使える 発振器を提供しています。SiTime は、すべての生産製品に ライフタイム保証を提供している唯一のタイミングメーカーです。

SiTime MEMS 発振器は以下の機能を提供しています。

• 高温環境下の動作：MHz発振器は最高125℃、kHz発振器は最高105℃
• 全動作温度範囲に渡って優れた周波数の安定性
• カスタマイズ可能な周波数 – 小数点以下6桁の精度。1 Hz ～ 725 MHz
• 水晶発振器よりも30倍優れた1FIT値（10億時間MTB）以下の高い信頼性
• 水晶発振器よりも30倍優れた耐震動性（70gの振動）
• 水晶発振器よりも25倍優れた耐衝撃性（50,000ｇの衝撃）
• 水晶発振器よりも50倍優れた低電磁感受性(EMS)
• 水晶発振器よりも10倍優れた電源ノイズ対策（低感度）(PSNS)
• 電池式の計測器/コントローラーに適した低消費電力

衝撃、振動に強いMEMS振動子

計測器は、過酷な環境や遠隔地に設置されることが多く、衝撃や振動などの危険にさらされることがあり、水晶振動子の性能低下、故障の原因となることがあります。また、水晶振動子は一端のみが固定されている構造で、機械的な振動や力に非常に敏感で、振動によりノイズとジッタの増加に繋がり、衝撃による周波数スパイクが起こりやすい傾向にあります。

一方、MEMS 振動子は水晶振動子に比べて質量は 1 /1,000 〜 1 /3,000 と小さく 、振動を受けにくくなります。これにより、振動による加速度で共振器にかかる力を軽減することができます。 SiTime の MEMS振動子は、バルクモードで水平面内振動する頑丈な構造のため、本質的に振動に強い形状となっています。

ppb/gで表される振動感度またはg感度は加速力によって引き起こされる周波数の変化を表しています。図1では正弦波振動によって誘発されるノイズをppb/gで表し、水晶発振器と比較し、異なる周波数でのSiTimeのMEMS発振器の低振動感度を示しています。

図1. 正弦波振動に対する発振器の感度

さらに、kHz発振器は極小1.5×0.8mmサイズ、そしてMHz発振器は2.0×1.6QFN及び SOT23-5と極小ながら0.1ppb/gのパフォーマンスを提供できています。水晶デバイスは低g感度を提供するために専用の大きなパッケージを使用しなければいけません。

実社会での実用に向けてSiTimeはMEMSおよび水晶発振器のシミュレーションを正弦波振動（上記）、耐不規則振動、耐衝撃の状況下で行いました。
測定結果と試験方法の詳細については、SiTimeが提供している論文「 MEMSと水晶発振器の衝撃と振動性能の比較 」および「 シリコンMEMS発振器の耐久性と信頼性 」をご参照ください。

電磁波と電源ノイズに強い MEMS発振器

発振器のパフォーマンスに大きく関わってくる電磁波（EM）がある計測アプリケーションが利用されている環境では電磁感受性(EMS)が重要となります。精密に設計されたアナログ回路が付いたMEMS発振器は水晶発振器に比べると電磁波ノイズに強いのが特徴です。

理由は、水晶の場合は発振器を覆う金属が電磁波から発振器を完全に保護することが出来ないからです。EMSの性能は共振器のインピーダンスと結合メカニズム、および発振動器のアナログ回路の設計に大きく関係しています。図2に示されているように、標準の試験ではSiTime発振器が他のクロックデバイスよりも優れていることが分かります。

図2. 発振器ごとの平均電磁波により誘起される位相ノイズ

システム内の電源装置はシステムパフォーマンスに悪影響を与える主要なノイズ源となる可能性があり、このノイズは電源装置の入切を行うと増幅されます。ノイズの多くはパッシブフィルタとデカップリングコンデンサによって除去されます。しかしながら、一部のノイズは残ったままグラウンドバウンスなどボード上の問題がクロックジッタに悪影響を及ぼします。電源ノイズ対策(PSNS)はアナログ回路の設計で使用されるパラメータであり、回路が電源からのノイズに対してどれだけ耐久性があるかを示します。試験結果はSiTimeの発振器のPSNSは高周波数、低ジッタ条件を満たすように設計されたSAW（水晶弾性表面波）を含めた水晶発振器よりも優れているというものでした。

図3は50mVピークピーク電源ノイズに対する電源装置ノイズの周波数の関数としての積分位相ジッタを示し、水晶発振器とSiTimeのMEMS発振器の結果を比較しています。プロットが示すように、ほぼ全てのノイズ周波数でSiTimeのMEMS発振器は低数値を示しています。一般的な水晶発振器メーカーとは異なり、SiTimeはMEMS発振器のアナログ回路を設計し、PSNS回路を含む高度なアナログ設計技術を駆使して、電源に起因するジッタから発振器を守っています。

図3. 電源装置ノイズ周波数の関数としてのSiTimeのMEMS発振器（下の線）および
水晶発振器の50mVピークトゥピーク電源ノイズ環境下での位相ジッタ

電磁波により誘発される位相ノイズと電源により誘発される位相ジッタの測定結果と試験方法の詳細についてはSiTimeの技術論文「 MEMSと水晶発振器の電磁感受性の比較 」をご参照ください。

MEMS発振器：温度変化に適応できる優れた周波数の安定性

計測機器は様々な環境下で利用され、幅広い温度環境下に置かれている場合が多いのが特徴です。MEMS発振器は、温度に対して非常に安定したクロック信号を提供するため、高温環境下での使用に最適。例えば、SiTimeのMEMSの32kHz計時デバイスは、低消費電力の計測アプリケーションで利用されており、全温度範囲で優れた周波数を実現するTempFlat MEMS™技術が使われています。

図4a

図4b

図4aは、SiT1532 MEMSの32.768kHz発振器の周波数安定性vs. 温度特性曲線です。産業用温度におけるSiT1532の仕様限界（< 100 PPM p-p）を青線、音叉型水晶振動子XTALの32.768 kHz発振器の典型的な仕様限界を赤線で示しています。図4bは、SiT1552 MEMSのTCXO（温度補償発振器）の周波数安定度を示しています。

プログラマブルなMEMS発振器

SiTimeのタイミングデバイスはプログラム可能な構造として設計されています。様々な用途、仕様に対応できるように注文に応じて工場にてプログラムされ、短納期にて納品可能で、設計者は幅広い選択設定を行うことができます。例えば、出力周波数は小数点6桁の精度を保ちながら広い動作範囲内にプログラムするなど。SiTimeのデバイスには立上り時間と立下りの時間を制御プログラムするドライブ強化などの特別な機能も備わっています。こういった機能により設計者は出力エッジレートを変更し、システム内のEMIを減らす事も可能です。

さらに、SiTimeのMHz発振器はフィールドプログラマブル発振器とTime Machine IITM発振器プログラマーを使用すれば自身のラボ内でのプログラミングが可能です。SiTimeの発振器は業界標準として広く使用されており、プロトタイプを開発する際に水晶デバイスと簡単に交換することができます。

低消費電力、電池式計測器に最適なMEMS発振器

ガスや水道のメーターは、一般的に電池式で、無線通信サブシステムを利用しています。これらのアプリケーションでは、低消費電力が不可欠です。例えば、地下の水道メーターは、20年以上作動するよう設計されているため、超長寿命の電池が必要となります。タイミング部品は、システムの消費電力と電池寿命に大きく関わります。

SiTimeの低周波・低電力発振器は、電力の最適化に最適です。これらのデバイスは、消費電力が<1 μAと低く、さらなる省エネを可能にする独自の機能を備えています。例えば、SiTimeのkHz発振器は、NanoDrive™、低圧のスイング出力を持ち合わせています。この機能により、システム設計者は、下流のPMICやMCUの入力に合わせて出力電圧を選択でき、負荷電流を最小限に抑えることができます。さらに、カスタマイズされた低周波数を利用できるため、計測器の設計者は、最高のパフォーマンスと電力のために最適な周波数を選択することができます。設計者は、もはや限られた出力周波数に制限されることなく、オーダーメイドの周波数を使用し、より少ない電力で動く計測器を開発できます。

また、MEMS kHz発振器の安定性は±3ppmと高く、電池寿命を延ばします。安定性の向上により、ネットワークでの計時の更新回数が減り、消費電力が削減されます。計測器内のサブシステムは、長時間のスリープモード中もセントラルハブとの同期を継続することができます。

さらに水晶振動子とは異なり、SiTime MEMS kHz発振器は複数の負荷を駆動することができ、BOM（部品表）を下げるだけでなく、システムの総電力を下げることができます。

計測器アプリケーション用MEMS発振器

MEMS kHz 低消費電力 発振器とTCXO

MEMS 低消費電力 LVCMOS 発振器

*

低圧スイング出力のNanoDrive もあります。

**

SiTime Time Machine II 発振器プログラマーを使用したフィールドプログラマブル

MEMS発振器パッケージの種類とサイズ

上記に記載した様々な機能や特性に加え、SiTimeタイミング商品はアプリケーションの用途に合わせ様々なパッケージで提供しています。

• 水晶発振器から簡単に入れ替え
  SiTime業界標準のQFNプラスチックパッケージ（2012, 2016, 2520, 3225, 5032, and 7050)は水晶デバイスと交換するだけで使用可能。一般的な水晶発振器のPCBパッドレイアウトに適用できるように作られており、ボードの変更を行うだけでMEMS発振器の使用が可能
• 高品質なボードと信頼性
  SiTimeの発振器は最高のはんだ接合の信頼性を必要とする用途向けSOT23-5パッケージで提供
• 超小型
  32kHz発振器は、2012QFNパッケージ及び超小型1508(1.5×0.8×高0.6mm)CSP（チップスケールパッケージ）にて提供

まとめ

計測器は極端な温度から激しい振動、電源に起因するノイズまで様々な動作環境にさらされています。様々な計測器の基となるタイミングデバイスは、過酷な環境下であっても長期間に渡り作動し続けなければいけません。シリコンMEMS発振器は、水晶発振器よりもはるかに頑丈です。テストデータによると、振動、機械衝撃、EMIの影響を受けた場合の結果はSiTime MEMS発振器が水晶発振器よりも優れていることが実証されています。

また、SiTime発振器は、より多くの機能とサプライチェーン上の利点を提供することができます。低消費電力のMEMS発振器は、低消費電流からプログラム可能な出力電圧や出力周波数まで、多くの省エネ機能を備えています。SiTimeのタイミング製品のプログラムは、システム性能の最適化、柔軟な設計、迅速な納期を提供することができ、これは水晶メーカーでは提供できない組み合わせです。SiTimeの発振器は、スマートメーターや電池式コントローラーなどのアプリケーションに最適な製品となっています。

 

SiTime製品について

SiTime製品に関するお問い合わせはこちら

 

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

© SiTime Corporation, 2008-2014. The information contained herein is subject to change at any time without notice. SiTime assumes no responsibility or liability for any loss, damage or defect of a Product which is caused in whole or in part by (i) use of any circuitry other than circuitry embodied in a SiTime product, (ii) misuse or abuse including static discharge, neglect or accident, (iii) unauthorized modification or repairs which have been soldered or altered during assembly and are not capable of being tested by SiTime under its normal test conditions, or (iv) improper installation, storage, handling, warehousing or transportation, or (v) being subjected to unusual physical, thermal, or electrical stress.

Disclaimer: SiTime makes no warranty of any kind, express or implied, with regard to this material, and specifically disclaims any and all express or implied warranties, either in fact or by operation of law, statutory or otherwise, including the implied warranties of merchantability and fitness for use or a particular purpose, and any implied warranty arising from course of dealing or usage of trade, as well as any common-law duties relating to accuracy or lack of negligence, with respect to this material, any SiTime product and any product documentation. Products sold by SiTime are not suitable or intended to be used in a life support application or component, to operate nuclear facilities, or in other mission critical applications where human life may be involved or at stake.

関連ブログ