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試作も量産もFPGAコンピューティング プラットフォーム 「M-KUBOS」で

試作も量産もFPGAコンピューティング プラットフォーム 「M-KUBOS」で

M-KUBOS製品サイトはこちら

これまでM-KUBOSの特長やアプリケーション例などを紹介してきました。
今回は最終回として、評価基板ではなく量産を見据えて開発されたM-KUBOSの魅力を解説します。

一般的な機器開発の順番とハードウェア開発の要求

機器の開発には、PoC(Proof of Concept=概念検証)、試作品開発、量産試作、本量産など様々な段階を踏んでいきます。そのために新たな基板を開発することも多いですが、少なくともPoCと試作品開発には、開発者としてはできるだけ新規基板開発を避けたいものです。

製品開発者の思うところは図1の通りでしょう。

図1:一般的な機器開発の順番とハードウェア開発の要求

新製品を最新のFPGAで作りたいと考えるのが普通です。ただFPGAの高度化により、新規基板設計は、ASIC開発に近い技術的リスクを抱えており、大規模な基板開発は仕様設計、回路設計、アートワーク設計、それぞれのエンジニアに高度なスキルを求められます。

例えば最近のボードでは、28Gbpsの高速シリアルが大量に走り回り、DDR4は2133Mbpsが64本、128本以上も配線されています。また、プロジェクトでのPoCや試作ではIOやFPGA・電源の容量を多めに見積もることが多いです。最もクリティカルなクロック、電源、リセットの仕様は開発経験数が多くないと、最小限の仕様を決定することもできません。

このようなボードの開発時、選択肢として有効なのはいわゆる「評価基板」です。2013年2月に教育用/学習用シングル・ボード・コンピュータ(SBC:Single Board Computer)として市場に投入された「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」などが有名です。しかしながら「評価基板」を試作や量産に投入するのは以下の点で大きなリスクがあります。


  • 長期供給性を考慮されていない
  • 設計品質・製造品質が不明
  • 拡張性が低い
  • (FPGA固有の問題として)PYNQ™に対応していない

このシリーズで紹介している「M-KUBOS」は「評価基板」ではないため、PoCにも試作品開発にも量産にも耐えうる製品に仕上がっています。  そのこだわりについて、以下の解説いたします。

長期供給

今回のM-KUBOSの開発でもFPGA・メモリ・リファレンスクロック・コネクタ・電源などキーパーツに関して長期供給の可能性が高い半導体を選定しました。これにより、M-KUBOSの長期供給の可能性が高まりました。


図2:長期供給が見込まれる部品を選定

設計品質と製造品質

設計品質

1)高速シリアル
世界全体で高速シリアル規格が主流のなか、「全ての高速シリアルIOをFireFly™コネクタ化」を行い、BERTを利用して転送レートの検証も完備しています。

2)動作検証済みのDRAM
必要不可欠なDRAMもPSとPLのDDR4-2133で厳密な動作検証済みです。

3)必要十分で安定した電源

4)PS部のリファレンスデザイン
OSの立ち上げや、PL部への制御が理解できるリファレンスデザインを用意しており、皆様に安心して使っていただける仕上がりとなっています。

製造品質

1)製造は大手電機メーカーの日本国内工場

2)厳密な設計・製造ルールの審査を通過した製品のみがM-KUBOSとして出荷

拡張性の高さ

評価基板にありがちな、多種多様な機能をマザー基板に持たせるのではなく、必要な機能を後で追加できる設計になっています。 FireFly™コネクタでは「M-KUBOS」同士・FiCへの接続やPALTEKのボード製品「Image CUBE 2」や「DATA BRICK」に接続することが可能です。

図3:FireFly™での接続

またFireFly™コネクタはその高速データ通信ならびに装置内の配置自由度から産業用機器への採用が進んでおります。代表的なアプリケーションは以下のものがあります。

  • 5G通信機器
  • 8K関連医療画像診断装置
  • スーパーコンピュータ

FMCはANSI(アメリカ規格協会)規格に準拠しており、十分な信頼性が確保されていることや多様なエコシステムがすでに多数のメーカーによって形成されています。

PYNQ™対応

 世界中で十分に検証済みのPythonが持つ、その巨大なエコシステムを利用することで、開発を加速させることが可能になります。
 また、試作品の開発を複数の基板で開発するときによく発生するFPGAのアップデートもOSを経由すればEtherでも可能になり、PYNQ™の対応は、電源を切らなくてもPL部だけのアップデートが可能です。もちろん、この仕組みを量産出荷後も利用することが可能です。

量産

 PALTEKは商社だからこそできる調達能力とFPGAを搭載した製品量産スキルを持ち合わせています。また、検証済みの基板であるM-KUBOSで試作を完了後に、デザインを母体とし追加した拡張基板を含めた基板に再設計をすれば、最小のリスクで量産基板が完成します。
これらのご相談も承っています。

基板の製造については下記3つを提案しています。

1)M-KUBOSをそのまま量産に使用する


2)M-KUBOS+新規開発or購入した拡張基板を接続して量産する


3)1)+2)M-KUBOSを改版して拡張基板の機能も一体化させる


またサプライチェーンの拠点網が世界的に発達したことにより、QCDが最適化したことも事実ですが、一方で脆弱さが露呈しています。 記憶に新しいところでは2019年の台風19号によるプリント基板基材工場の浸水による納期長期化、COVID-19による中国サプライヤを中心としたサプライチェーンの混乱があります。

今後、モジュラーデザインのコンセプトで設計されたM-KUBOSをコアコンポーネントとして貴社のサプライチェーンを強靱化することをご提案いたします。


図4:従来の設計


図5:モジュラーデザイン

オプションパーツについては下記3つを提案しています。

オプションパーツについて

各種試験・資料作成(有償)については下記3つを提案しています。

各種試験・資料作成(有償)について

まとめ

いかがでしたか? 全5回にわたってご紹介してきましたFPGAコンピューティングプラットフォーム M-KUBOS。
M-KUBOSを活用することで、低コストかつ高性能なシステム実現を提案します。

M-KUBOSについて、ご興味のある方はぜひともお問い合わせください。

 

また、今回の記事に関する説明動画をご用意していますので、ぜひともご覧ください。