【アナログ回路豆知識】定電流LEDドライバ回路例

皆さん、こんにちは。
ダイオードやトランジスタ、MOS FETなどのディスクリート部品を使った具体的な回路例をお伝えする「アナログ回路豆知識」。
今回はバイポーラトランジスタを基にした、「シンプルな定電流LEDドライバ回路例」についてお送りいたします。
では、まいりましょう。
目次
LEDの定電流駆動
LEDの発光輝度は駆動電流に依存します。
例えば白色LEDは順方向電圧VFがtyp3.6V程度と比較的高く、しかもこのVF電圧は製品によってばらつきが大きいため、定電圧駆動を行うと、個々のLEDの駆動電流がばらついて、結果として発光輝度のばらつきが発生します。
このためLEDを直列接続して定電流駆動するのが一般的です。
バイポーラトランジスタを用いた定電流出力回路
定電流出力回路の基本として、パイポーラトランジスタを使った回路を図1に示します。
図2においてベースバイアスがあり、エミッタ端子に直列抵抗が接続されていてコレクタ端子が出力端子となっている回路は、定電流を出力します。
エミッタ抵抗REによってフィードバックがかかりIOが定電流出力となります。
図1 定電流出力回路
バイポーラトランジスタを基にしたシンプルなLEDドライバNCRシリーズ
Nexperia社から、図2のようにバイポーラトランジスタといくつかの部品を集積した、定電流LEDドライバ NCRシリーズがリリースされています。
以下図2のPNPタイプだけでなく、NPNタイプも含め、以下のブローシャに記載のラインナップがあります。
これらはシンプルな定電流LEDドライバ回路を構成するのに最適なので、このあと具体的な回路例を紹介していきます。
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図2 NCR401T構成図 |
図3 NCR401T パッケージ 出典:Constant current LED Drivers(P2) |
NCRシリーズを使った応用回路例
図4 定電流 10mA LEDドライバ回路
NCR401T内部のRint=88Ω、RB=20Kで、2個のダイオードは温度特性補正用です。
Vsup=10V、LEDのVFmax値の合計値が8V以下の使用条件で、10mAの定電流出力を得ることが可能です。
(Vsup-Vout=1.4V以上必要、マージンを見て1.4V→2,0V以上必要、10V-8V=2V)
供給電圧Vsup電圧特性について、IOはVsupに比例して増加します。
温度特性は周囲温度に反比例して低下します。詳細はデータシートをご参照ください。
ON/OFFスイッチ付きの場合は、図4のRETsトランジスタPDTC114YUの回路を追加すれば可能になります。
図5 定電流 60mA(10mA~65mA可変)LEDドライバ回路_ON/OFF機能付
Vsup=24V、Rext=15Ω、IOUT=60mA、LEDのVFmax値の合計値が22V以下の使用条件です。
Vout=24V-2V=22Vmax Rext=∞時は、IOUT≒10mA、
Rextを変えることによって10mA~65mAの定電流出力が可能です。
LEDのVFmax値の合計値が16Vとすると
ICの消費電力Pd=(24-16V)x60mA=480mW 480mW<750mW→OK
供給電圧Vsup電圧特性について、IOUTはVsupに比例して増加します。温度特性は周囲温度に反比例して低下します。詳細はデータシートをご参照ください。
図6 定電流 40mA(10mA~150mA可変)LEDドライバ回路_ON/OFF機能付
Vsup=24V、Rext=30Ω、IOUT=40mA、LEDのVFmax値の合計値が22V以下で使用可能です。
Rint=95Ω、RB=20KΩ Vout=24V-2V=22Vmax Rext=∞時は、IOUT≒10mA
Rextを変えることにより10~150mAの定電流出力を得ることが可能です。
LEDのVFmax値の合計値が12Vとすると、
ICの消費電力Pd=(24-12V)x40mA=480mW 480mW<750mW→OK
供給電圧Vsup電圧特性について、IOUTはVsupに比例して増加します。温度特性は周囲温度に反比例して低下します。詳細はデータシートをご参照ください。
ON/PFFスイッチ回路にPch MOSFET BSS84AK -50V、±20V、-0.18A SOT23と、抵抗内蔵トランジスタ PDTC114YU 50V、100mAを採用しています。
ON/OFFスイッチ機能が不要の場合は、MOSFETとRETsトランジスタは不要となり、VEN端子をVsup端子に接続します。
図7 185mA(10mA~250mA可変)LEDドライバ回路_LOGIC ICによるON/OFF機能付
ON/OFF機能はロジックICで制御する回路例です。
ロジックICにSingle-Buffer 74LVC1G34を採用しています。トランジスタのベース電流をロジックICのIOHで駆動しています。この回路に使用するICのIOHは出来るだけ大きいICを選択する必要があります。
High-SideのMOSFETのRon値がより小さい製品を選択します。
エミッタ電圧 0.95V、ベース電圧 0.95V+0.55V≒1.5V RBの両端電圧 3.3V-1.5V=1.8V
ベース電流=1.8V÷1.5K=1.2mA
Vsup=12V、Rext=4Ω、IOUT=185mA、LEDのVFmax値の合計値が10V以下が使用条件です。
Rint=95Ω、RB=1.5KΩ
Rextによって、IOUT 10~250mAの定電流出力を得ることが可能です。
LEDのVFmax値の合計値が8Vとすると、Vout=4Vとなります。
ICの消費電力Pd=VoutxIOUT=8x185mA=740mW 740W<1250W OK
供給電圧Vsup電圧特性について、IOUTはVsupに比例して増加します。温度特性は周囲温度に反比例して低下します。詳細はデータシートをご参照ください。
おわりに
今回はバイポーラトランジスタを基にした、「シンプルな定電流LEDドライバ回路例」についてお伝えしました。
Nexperia社では、本ブログで紹介した定電流LEDドライバ製品のラインナップをご用意しています。下記リンクを参照いただけますと幸いです。