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無線通信機器で使用するボタン電池寿命を最大10倍延ばす「ブースターIC」とは?

無線通信機器で使用するボタン電池寿命を最大10倍延ばす「ブースターIC」とは?

みなさん、こんにちは。
無線通信機器の世界では、小型化とエネルギー効率の高さが常に追求されるテーマです。日常生活から産業用途に至るまで、さまざまな場所で使われるIoTセンサなどのデバイスは、コンパクトで長持ちする電源が必要とされています。

特にボタン電池は、その小さなサイズにもかかわらず優れたエネルギー供給源として広く採用されています。

本ブログでは、無線通信機器におけるボタン電池の使用に関する課題を深掘りし、その寿命を延ばすための業界初のソリューション「Coin cell battery life booster IC」に焦点をあて、電池寿命を伸ばすための新技術ついて紹介します。

目次

背景

従来から腕時計などの低消費電流アプリケーションに使用されているボタン電池(リチウムコイン電池)として、Panasonic社のCR2032などのボタン電池などがあります。
近年ではIoTセンサやスマートタグ、電子棚札、リモコンなどの低消費電力無線通信機器の電池として用いられています。

しかしながら、ボタン電池駆動の無線通信機器の電池交換周期は、標準的には6~8ヶ月であることから、その寿命はIoTセンサの電源として用いる際の障害となります。
電池を交換するための費用と時間は、特にセンサの数が多い際には膨大となるため、電池寿命を延ばすことは非常に重要です。

無線通信機器でボタン電池を使う際の課題

ボタン電池は内部抵抗が高いので、高電流を流すと化学的なダメージを受け、電池の容量(寿命)に悪影響を及ぼします。特に低温時はこの影響が顕著になります。

一方、無線送信時にはボタン電池の定格電流を超える高いパルス電流が流れる場合があり、前述した電池寿命への悪影響、またパルス電流時の電圧の低下を引き起こす恐れがあります。


業界初の「Coin cell battery life booster IC」

この課題を解決するソリューションとして、Nexperia社から業界初のCoin cell battery life booster IC、NBMシリーズがリリースされています。

この動作を簡単に説明すると、下図のように、非通信時にはボタン電池からキャパシタに電力をためておいて、通信時にはボタン電池の電力ではなくその電力を放出することにより、パルス電流時の電圧の低下、ボタン電池の劣化を防ぎます。

ICの内部ブロックとしては、2つの高効率DC/DC変換段と、インテリジェントな学習アルゴリズム機能を内蔵しています。

第1変換段は、ボタン電池からキャパシタに低レートでエネルギーを転送します。

第2変換段は、蓄積されたエネルギーを利用して、安定化(1.8V〜3.6Vでプログラム可能)の高パルス(最大200mA)電流出力を提供します。
インテリジェントな学習アルゴリズムは、繰り返しの負荷パルスサイクル中に使用されるエネルギーを監視し、第1段のDC-DC変換を最適化して、キャパシタの残留電荷を最小限に抑えます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
Nexperia社のCoin cell battery life booster IC、NBMシリーズは、一般的なボタン電池の寿命を競合製品に比べ最大10倍延長し、ブースター不使用の一般的なボタン電池のピーク出力電流を最大25倍向上させる革新的な新しいバッテリ管理ICです。

画期的な長寿命化によって、低消費電力のIoT(Internet of Things)やその他のポータブル・アプリケーションにおける電池の浪費を大幅に削減するだけでなく、これまで単3形や単4形電池を必要としていたアプリケーションの電源としてボタン電池が使用できるようになります。

本ブログで紹介した「Coin cell battery life booster IC」に関する詳細は以下よりご確認ください。

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