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リチウムイオンバッテリモデルをSimulink®で作ってみた【第1回】簡易モデル編

リチウムイオンバッテリモデルをSimulink®で作ってみた【第1回】簡易モデル編

近年、リチウムイオンバッテリは電気自動車の動力源をはじめ様々な分野でキーパーツの一つとして利用されています。こうした流れの中で、開発の段階でリチウムイオンバッテリの評価、検証を効率的に行うことは時間的にも、コストの面でも重要になってきています。

このTECHブログでは、自動車業界で普及してきているモデルベース開発を活用し、リチウムイオンバッテリの評価を効率的に行うことができるモデルを作成します。
このモデル作成には、MathWorks社のSimulink®を使用します。

複数回にわたり、モデルを段階的に詳細化していき、最終的にはHDL Coderを使用したHDL化まで行うことを予定しています。

今回は第1回目でOCV電圧、R、Cのパラメータのすべてを定数とする、最も簡易的なモデルを作成しシミュレーションによる評価まで行います。

なお、実行した環境は以下の通りです。

OS Microsoft Windows 10 Pro
MathWorks社製 MATLAB® バージョン 9.8 (R2020a)
Simulink® バージョン 10.1 (R2020a)

目次

リチウムイオンバッテリの等価回路モデル

リチウムイオンバッテリのモデル化に際しては、以下のポイントを考慮しています。

モデル化のポイント
・充放電反応が複雑で抽象的なモデルを作成
・高精度だが複雑な電気化学モデルではなく、簡単かつ扱いやすい等価回路を採用
・観測がしやすい端子電流(ibat)、端子電圧(Vbat)をそれぞれ入力、出力とする

さらに、1回目の今回は、モデルをできるだけ簡易化するために、SOCや温度に依存するOCV電圧、R、Cのパラメータのすべてを定数として取り扱います。

上記を考慮したリチウムイオンバッテリの等価回路モデルが以下になります。

図 1 リチウムイオンバッテリ等価回路モデル

図 1 リチウムイオンバッテリ等価回路モデル

各部の対応は以下の通りです。

Eocv 開回路電圧(V)
ibat 端子電流(A)
R0 電気化学反応の速い反応を模擬した合成抵抗(Ω)
R1 電気化学反応の遅い反応を模擬した抵抗成分(Ω)
C1 電気化学反応の遅い反応を模擬した電気容量成分(F)
ic C1の電流成分(A)
V0 R0での電圧降下(V)
V1 R1,C1での電圧降下(V)
Vbat 端子電圧(V)

等価回路モデルを回路方程式へ

図 1の等価回路モデルを回路方程式にしたものが以下になります。

回路方程式をSimulink®モデルへ


作成したものが、図 2のモデルです。

図 2 リチウムイオンバッテリのSimulink®モデル

※画像クリックで大きな画像が表示されます。

シミュレーションによる評価

上記のモデルに下記パラメータを設定してibat = 5[A]におけるVbatの変化をシミュレーションで確認しました。パラメータは、参考文献[1]のSOC=1の場合の値を参考にしました。

バッテリの端子電圧VbatがEocvからR0の抵抗成分による0.09Vだけ電圧降下し、その後、経時変化していることがわかります。

図 3 Vbatの経時変化の様子

図 3 Vbatの経時変化の様子

R1の値を図 3の場合よりも大きくする(図 3の2倍のR=14[mΩ]に設定)と図 4のようにVbatが下がります。

図 4  Vbatの経時変化の様子(R1を図 3の時の2倍に設定)

図 4  Vbatの経時変化の様子(R1を図 3の時の2倍に設定)

C1を大きくする(図 3の時の2倍の4[kF]に設定)と図 5のように電圧低下の傾斜が緩やかになることがわかります。

図 5  Vbatの経時変化の様子(C1を図 3の時の2倍に設定)


参考文献[1]
Ahmed et al, “Model-Based Parameter Identification of Healthy and Aged Li-ion Batteries for Erectric Vehiecle Applications”,SEA Int. J. Alt. Power. / Volume 4, Issue 2 (July 2015),

終わりに

今回はOCV電圧、R、Cのパラメータのすべてを定数とする、最も簡易的なバッテリモデルを等価回路モデルから回路方程式を導き、MathWorks社のSimulink®を使用して作成しました。
ibat=5[A]を流した時のVbatの経時変化の様子をシミュレーションで確認し、R1、C1のパラメータの変更による経時変化の特性の傾向が確認できました。

次回は、詳細度を増して、OCV,R,CをSOC,Tの入力にもつ、2D-LookupTableから算出する、モデルの作成を行う予定です。

もしお手元にあるSimulink®モデルのHDL化やモデルベースデザイン設計を委託したいというご要望がございましたら、当社モビリティビジネス事業部までお気軽にお問い合わせください。

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最後までお付き合いいただきありがとうございました。