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タンク水位変化モデルをSimulink®で作ってみた

タンク水位変化モデルをSimulink®で作ってみた

このブログでは、自動車業界で普及してきている「モデルベース設計」を用いて、タンクに入った水の水位変化をモデル化します。

このモデル作成は、物理モデルから微分方程式を導き、それを元にMathWorks社のSimulink®を使用してモデルを作成しており、シミュレーションによる評価を行う一連の流れを紹介します。

なお、実行した環境は以下の通りです。

OS Microsoft Windows 10 Pro
MathWorks社製 MATLAB® バージョン 9.9 (R2020b)
Simulink® バージョン 10.2 (R2020b)

 

目次

タンク水位変化プロセスの物理モデル

タンクの水位変化プロセスの物理モデルを図 1に示します。
タンクへの水の流入量がq1(t)[m3/s]、タンクからの水の流出量がq2(t)[m3/s]時のタンクの水位h(t)[m]の変化をモデル化しています。
タンク内の水の体積はV(t)[m3]、タンクの断面積はS[m2]、タンク出口部の水の流出しにくさを表す、出口抵抗はR[s/m2]としています。

図 1 タンクの水位変化プロセスの物理モデル


時間変動する物理量は以下の通りです。



また、パラメータは以下です。


物理モデルを微分方程式へ

図 1の物理モデルを微分方程式にしたものを以下に示します。


それぞれの式の意味は以下の通りです。

  • ① 断面積S[m2]、タンク内水位h(t)[m]時の水の体積V(t)
  • ② タンク内単位時間当たりの水の体積変化
  • ③ 流出量q2(t) [m3/s]はタンクの水位h(t)に比例。比例定数に出口抵抗R[s/m2]を用いて表現

微分方程式をSimulink®モデルへ

タンクへの水の流入量q1(t)を入力、タンクの水位h(t)を出力とするSimulink®モデルを作成します

作成したものが、図 2のモデルです。

図 2 タンク水位変化プロセスのSimulink®モデル


シミュレーションによる評価

上記のモデルに下図 3のパラメータを設定して、図 4の入力のようにタンクへの水の流入量を時刻t=0でq1(t)=1.5*10-3[m3/s]となるステップ入力で与えてシミュレーションを実行しました。
シミュレーション結果は図 4出力のタンク水位h(t)変化の通りで、徐々に上昇しt=1000[s]にはおよそ0.6[m]になることが分かります。

図 3 設定パラメータ(Simulink® シミュレーション画面)


図 4 タンク水位変化プロセスのシミュレーションの様子(Simulink® シミュレーション画面)


終わりに

今回は「タンク内の水位変化」について、物理モデルから微分方程式を導き、それを元にMathWorks社のSimulink®を使用してモデルを作成し、タンク内の水位の経時変化の様子をシミュレーションで確認しました。
時刻t=0でタンクへq1(t)=1.5*10-3[m3/s]となる水をステップ入力で流入すると、水位h(t)[m]は徐々に上昇し、t=1000[s]にはおよそ0.6[m]になることが確認できました。

モデルベースデザイン設計委託やお手元にあるSimulink®モデルのHDL化のご要望がございましたら、弊社デザインサービス事業までお気軽にお問い合わせください。

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最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

参考文献[1]:山本透 他, “実習で学ぶモデルベース開発”,コロナ社 (2018)

 

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