- MRDIMM概要
- SFFとTFFの違い
- MRDIMMーRDIMM比較表
- MRDIMM vs RDIMM ベンチマーク比較
- MRDIMM vs RDIMM ベンチマーク比較結果
- MRDIMMに適したワークロード
- ワークロードデータの比較~MRDIMM vs RDIMM~
- 高帯域幅を必要とするHPCワークロード
- HPCのタスクエネルギー比較~OpenFOAM~
- AIワークロード
MRDIMMとは?次世代サーバの性能を飛躍的に向上させる最新メモリ技術!

本ブログでは、Micron社が2024年7月にサンプル出荷を開始したMRDIMMについて、その仕組みや性能、特徴を紹介します。
サーバの性能向上は永遠のテーマですが、その進化を加速させる革新的なメモリ技術が登場しました。
従来のDDR5 RDIMMと比べて、高速なデータレートと大容量を実現したMRDIMM(Multiplexed Rank DIMM)は、次世代サーバに必要なメモリ技術といえます。
ページ下部にMRDIMMに関する詳細なダウンロード資料をご用意しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ダウンロード資料には本ブログで触れているMRDIMMの特徴からTFFとLPFの違い、またMRDIMMとRDIMMのベンチマーク比較結果を詳細に記載しております。 その他にもワークロード比較やHPCのタスクエネルギー比較などを行っております。
目次
MRDIMMとは
MRDIMMは、Multiplexed Rank DIMM(マルチプレックスド・ランク DIMM)の略称で、DDR5メモリ技術の発展形として開発された新しいメモリモジュール規格です。
Intel社の最新CPU「Granite Rapids (GNR)」などの高性能な次世代サーバCPUの性能を最大限に引き出すために設計されています。
従来のDDR5-6400と比較して、MRDIMM-8800では最大8,800 MT/s(メガトランスファー/秒)という高速なデータ転送レートを実現し、メモリ帯域幅を大幅に向上させています。特にAIワークロードやHPC環境、メモリ集約型のサーバアプリケーションでの使用を想定しており、増加し続けるCPUコア数に対応したメモリ要件の課題を解決します。
MRDIMMは、単一のメモリチャネルで複数のランクを効率的に管理する新しいアーキテクチャを採用しており、これにより従来のDDR5メモリモジュールの限界を超える性能を実現しています。
MRDIMMの特徴
MRDIMMの最大の特徴は、その名の由来にもなっている多重化ランク技術にあります。この技術により、2つのDDRランクからのデータを多重化し、DDR速度を2倍にまで高めることが可能です。これにより、MRDIMMはDDR5 RDIMMと比較して最大39%もの帯域幅向上を実現しています。
具体的には、128GB RDIMM(2Rx4)の6400 MT/sと比較して、128GB MRDIMM(4Rx4)の8800 MT/sでは、1:1のリード/ライトにおいて最大39%の帯域幅向上が見られます。
さらに、MRDIMMの主要な特徴として以下3点が挙げられます。
- 1. 高密度設計
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- 32GBから256GBまでの幅広い容量をサポート
- 1枚のモジュールで最大4ランクまでサポート
- 2. 熱設計の最適化
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- 強化された熱設計により、同等の電力条件下でDRAM温度を最大20℃まで低減
- 高い電力効率性を実現
- 3. 信頼性の向上
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- ECC(Error Checking and Correction)機能搭載
- データの整合性を維持しながら高速動作を実現
これらの特徴により、AIやHPC環境などのメモリ集約型ワークロードに最適な性能を提供します。
MRDIMMの2つのフォームファクタ(ロープロファイルとTFF)
MRDIMMには、ロープロファイルとTFF(Tall Form Factor)の2つのフォームファクタがあります。以下の図は、2つのフォームファクタです。

TFF MRDIMMは、3DS-TSVのような複雑で高価なパッケージング技術を用いることなく、標準的なRDIMMの2倍のモジュール容量を提供します。高さ56.9mmの128GB TFF MRDIMMは、高さ31.25mmの標準的な64GB RDIMMと比べて2倍の容量を実現しています。これは、TFF MRDIMMでは2倍のメモリチップを実装できるためです。
ロープロファイルMRDIMMは、DDP(Dual-Die Package)コンポーネントを使用することで、帯域幅を低下させることなく最大容量を実現します。
一方、TFF MRDIMMはSDP(Single-Die Package)コンポーネントを使用します。
どちらのフォームファクタもDDR5 RDIMMのソケットに挿すことが可能なため、既存のシステムにも容易に導入できます。以下の表は各フォームファクタで利用可能な容量と構成をまとめたものです。
表1: MRDIMMのトールおよびロープロファイルフォームファクタで利用可能な容量と構成
MRDIMMのメリット
CPUパフォーマンスの向上
コアあたりの帯域幅を拡張することで、CPUの処理能力を最大限に引き出し、システム全体のパフォーマンスを向上させます。
高速なデータレート
DDR5 RDIMMと比較して最大39%の帯域幅向上を実現し、データ集約型のアプリケーションを高速化します。
大容量化
TFF MRDIMMは標準的なRDIMMの2倍の容量を提供し、メモリ容量の制約を解消します。
低レイテンシ
帯域幅に敏感なワークロードに対して最大40%のレイテンシ削減が可能です。
例えば、GNR APプラットフォーム上で、1チャネルあたり1つのDIMM(1DPC)、128GB TFF 4Rx4 MRDIMM(16Gb)8800 MT/sのMRDIMMシステムと、1DPC、128GB 2Rx4 RDIMM(32Gb)6400 MT/s、システムメモリ1TBのRDIMMシステムを比較した場合、2R:1Wのシーケンシャルメモリアクセスパターンにおいて最大40%のレイテンシ削減がIntel MLCで測定されています。
容易な導入
既存のDDR5 RDIMMのソケットに挿すことが可能なため、既存システムへの導入も容易です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本ブログでは、次世代サーバの性能を飛躍的に向上させる最新メモリ技術MRDIMMについて、その詳細な機能と導入メリットについて紹介しました。
MRDIMMは、高速なデータレートと大容量を実現し、次世代サーバに必要不可欠なメモリ技術です。その多重化ランク技術により、従来のDDR5 RDIMMと比較して最大39%の帯域幅向上を実現し、高性能な次世代サーバCPUの能力を最大限に引き出すことができます。
MRDIMMの大きな特徴として、ロープロファイルとTFFの2つのフォームファクタがあり、いずれも既存のDDR5 RDIMMソケットに容易に導入可能です。これにより、既存システムへの適応もスムーズに行えます。MRDIMMを導入することで、高速化、大容量化、低レイテンシなど多くのメリットが期待でき、システム全体のパフォーマンスが大幅に向上します。
特にAIやHPCなどの高負荷ワークロードにおいて、その実力を最大限に発揮できることが期待されます。また、DDR6が登場するまでの過渡期において、重要な役割を果たすメモリ技術として注目されています。
本ブログで紹介した「MRDIMM」に関する詳細資料については以下のリンクから資料をダウンロード可能です。
ダウンロード資料にはMRDIMMの特徴からTFFとLPFの違い、またMRDIMMとRDIMMのベンチマーク比較結果を詳細に記載しております。その他にもワークロード比較やHPCのタスクエネルギー比較などを行っております。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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